このページの要点
- 定期購入の最終確認画面には、各回の分量と回数、各回の代金と支払総額、各回の支払時期と引渡時期、解約の条件を表示する(特定商取引法12条の6第1項)。
- 「お試し」「初回○円」「いつでも解約可能」を強調して条件を小さく離して置くと、誤認させる表示になり得る。誤認した申込みは取り消せ、罰則もある(同法15条の4、72条1項4号)。
- 解約は「次回発送予定日の○日前」のように、締切・窓口・効力の起点を確定した文で書き、回数の縛りの途中解約の精算は、額の根拠を説明できる形にする。
- スキップ、住所変更、決済の失敗、値上げ、廃番は、締切と順序を決めて規約に書き、画面・メール・表記と同じ言葉にそろえる。
結論:定期購入は「画面の表示」「止め方」「回数の約束」を一組で決める
ネットショップの定期購入(定期便)は、商品を一定の間隔で繰り返し届け、その都度代金を受け取る売り方です。ふつうの注文と違い、お客様は1回の注文の画面で「これから何回、いくら払い、いつ、どうすれば止められるか」を引き受けます。そのため争いの多くは、規約の文章の出来より前に、「注文を確定する画面でそれが分かったか」と「止めたいときに止められたか」の2点に集まります。
結論を先に挙げます。
- 注文を確定する画面(以下「最終確認画面」)に、各回の分量と届く回数、各回の代金と支払総額、各回の支払時期と引渡時期、解約の条件を表示します(特定商取引法12条の6第1項)。広告に書いてあるだけでは足りません。
- 「お試し」「初回○円」「いつでも解約可能」を強調するときは、定期購入であること、2回目以降の代金、解約の条件を、同じ視線の範囲に、同じ程度の大きさで置きます。離れた小さな文字に置くと、誤認させる表示になり得ます(同条2項)。
- 解約の締切は「次回発送予定日の○日前」のように起点のある確定した文で書きます。窓口には、申込みと同程度の手間で使える手段を含めます。
- 回数の縛りがあるなら、縛りそのものを分量と総額として表示します。途中で解約された場合の精算は、額と根拠を説明できる形にします。
- スキップ、休止、住所変更、決済の失敗、値上げ、廃番は、締切と順序を決めて規約に書き、画面・メール・特商法表記と同じ言葉にそろえます。
- 返品特約は定期購入でも必要です。「返品されたら以後の定期も止まるのか」まで書きます。
この記事は、物を売るネットショップの定期購入を扱います。月額会員のような役務(サービス)のサブスクリプションの解約の締め日や日割りは、別のガイドで扱います。また、ここで述べる表示の規制は消費者向けの販売が対象で、営業のために買う事業者への販売には適用されません(特定商取引法26条1項1号)。
最終確認画面には何を出すのか:定期購入で求められる表示
最終確認画面とは、お客様が「注文を確定する」などのボタンを押すと申込みが完了する画面のことです。消費者庁の「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」は、画面の題名や形式にかかわらず、この条件に当たる画面が対象になると整理しています。
法律が求める表示は、分量と、販売価格・支払の時期と方法・引渡時期・申込みの期間・申込みの撤回又は解除に関する事項です(特定商取引法12条の6第1項、11条1号から5号)。上のガイドラインは、定期購入ではこれを次のように読むとしています。
| 表示事項 | 定期購入での読み方 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 分量 | 各回に届く数量に加えて、受け取る回数も表示する。たとえば5か月分の契約なのに1か月分だけを表示すると、分量を正しく表示したことにならない。解約を申し出るまで続く無期限の契約や、自動更新のある契約は、その旨を表示する | 「1回につき2袋。全4回で合計8袋」「解約のお申出がない限り毎月お届けします(回数の定めはありません)」 |
| 販売価格 | 各回の代金に加えて、支払総額を明確に表示する。初回と2回目以降の代金が違うときは、対比して表示する。送料は実際に払う金額で示す | 初回○円(送料込)、2回目以降○円(送料込)、4回分の合計○円 |
| 支払の時期と方法 | 各回の支払時期も表示する | 「毎回、発送の○日前にカードへ請求します」 |
| 引渡時期 | 各回の引渡時期も表示する | 「初回は注文から○日以内に発送、2回目以降は前回の発送日から○日後に発送」 |
| 申込みの期間 | 申込みそのものに期限があるとき(購入期限のカウントダウン、期間限定販売など)に表示する。個数限定や、価格・特典を一定期間だけにする場合は含まれない | 「このコースのお申込みは○月○日まで」 |
| 申込みの撤回・解除 | 条件、方法、効果を表示する。解約の申出に期限があるならその期限、違約金その他の不利益があるならその旨と内容も含まれる | 「次回発送予定日の○日前までにマイページで解約できます。期限後は次回分の発送と請求があります」 |
広告やリンク先のページを参照させる形も認められていますが、参照先で必要な事項を容易に認識できることが前提です。解約の方法を特定の手段に限る場合(電話だけ、特定の時間帯だけ、追加の書類が必要、など)は、リンク先に任せず、最終確認画面にも明確に表示する必要があるとされています。この表示をしたからといって、その制限が民事上有効になるわけではありません。消費者の権利を不当に制限する条項は、消費者契約法によって無効になることがあります。
電話で解約を受け付ける場合は、実際につながる番号を載せます。表示した番号につながらない状態は、解約に関する事項について事実と異なる表示をしたものと評価されるおそれがあるとされています。
ネットショップの特商法表記の欄の作り方はネットショップの特定商取引法に基づく表記で、最終確認画面を電子消費者契約法の確認の措置として整える方法はネットショップの契約はいつ成立するかで扱っています。
総額の出し方:計算例
数字の出し方の例です。通常価格3,500円(税込)の商品を、初回は特別価格980円、2回目以降は2,980円(いずれも税込の商品代金)とし、送料は毎回550円(税込)、全4回お届けするコースを考えます。
| 回 | 商品代金 | 送料 | その回の支払額 |
|---|---|---|---|
| 初回 | 980円 | 550円 | 1,530円 |
| 2回目 | 2,980円 | 550円 | 3,530円 |
| 3回目 | 2,980円 | 550円 | 3,530円 |
| 4回目 | 2,980円 | 550円 | 3,530円 |
| 4回分の合計 | 9,920円 | 2,200円 | 12,120円 |
画面には「初回1,530円、2回目以降3,530円(いずれも送料込)、4回分の合計12,120円」と、各回の額と合計の両方を出します。「980円」だけが大きく、2回目以降の額が下の方に小さくあると、次に述べる誤認させる表示になります。回数の定めがない無期限の定期便では、目安であると断った上で、1年分の支払額のように期間を区切った額を示すことが望ましいとされています。
同じ内容を、最終確認画面・特商法表記・注文完了メール・規約の4か所で、同じ言葉で書きます。1か所でも数字が違うと、お客様は自分に一番有利な表示を根拠にします。コース名にも注意が必要で、「お試しセット」のように、回数の約束を隠す名前は避けます。
「お試し」「いつでも解約可能」の表示は何が問題になるのか
特定商取引法12条の6第2項は、最終確認画面で、次の2つの表示を禁じています。1つは、ボタンを押す操作が申込みになることについて、人を誤認させるような表示(1号)です。もう1つは、1項に挙げた事項について、人を誤認させるような表示(2号)です。ガイドラインは、2号に当たるおそれがある例として、次のような表示を挙げています。
この表示は大丈夫か:ガイドラインが挙げる方向性にもとづく整理
- 初回の価格や分量を大きく強調し、定期購入であることや2回目以降の条件を、小さな文字や離れた位置に置く誤認させるおそれがある。位置だけでなく、間に別の広告が挟まる、注文を確定するボタンの下に置かれる、といった画面の構造も総合して判断される
- 「お試し」「トライアル」を殊更に強調しているが、実際は回数の縛りのある定期購入お試しという言葉から、試しの契約で容易にやめられると受け取られやすい。実際と食い違うと、該当するおそれが強い
- 「いつでも解約可能」と強調しているが、実際は発送の○日前まで・電話のみ・解約料あり文字どおり、いつでも条件なしに解約できると受け取られる。条件を、強調した文言の近くに同じ程度の大きさで示さないと、誤認させるおそれがある
- 定期購入のコースが、お客様が操作しなくても選択された状態になっている容易に確認・訂正できない設定として、行政上の指示の対象になり得る行為(法14条1項2号、施行規則42条1項)に当たるおそれがある。単品と定期を対等に並べ、初期状態を選択済みにしない
効果は2つあります。第一に、これらの表示によって誤認して申し込んだお客様は、申込みの意思表示を取り消せます(特定商取引法15条の4)。取消権は、追認できる時から1年間行使しないとき、契約の時から5年を経過したときに消滅します(同条2項で準用する9条の3第4項)。取り消されると、すでに届けた商品と代金の精算が生じます。
第二に、罰則と行政上の措置です。12条の6第2項に違反して誤認させる表示をした者は、百万円以下の罰金に処されます(同法72条1項4号)。1項の表示をしていない場合を含め、12条の6の違反は、主務大臣による是正の指示の対象になり、指示をしたときはその旨が公表されます(同法14条1項・3項)。
解約条項の組み立て方:締切・窓口・効力・精算
「いつでも解約できます」と書くだけでは、解約条項になりません。物販の定期購入では、次の4つを確定した文で書く必要があります。①いつまでに申し出れば次回から止まるか(締切)、②どの手段で申し出られるか(窓口)、③申出が完了したと言えるのはいつか(効力の起点)、④すでに届けた回や、縛りの途中の解約をどう精算するか(精算)です。「やめたのに届いた」「やめられない」は、たいていこのどれかが決まっていません。
締切は「次回発送」を基準に置く
役務の月額課金では、更新日や月末が基準になります。物を送る定期購入では、梱包・出荷の準備が始まる日と、請求の日が基準になります。締切を請求日や発送日より後に置くと、止めたい人の申出を受け付けながら、止められない状態になります。
| 型 | 内容 | 向く場面 | 注意する点 |
|---|---|---|---|
| 次回発送予定日の○日前型 | 次回発送予定日の○日前までに手続が完了すれば、次回から停止する | 回ごとに在庫の引当や梱包を行う店 | 次回の発送予定日を、マイページや直前の通知メールでお客様が確認できるようにする。確認できない日付を基準にしない |
| 毎月の特定日型 | 毎月○日までの手続は翌月分から停止する | 月に1回まとめて出荷する店 | 特定日を過ぎた場合の結論を「場合があります」で終わらせない。次の発送分は発送・請求し、その次から停止する、と確定した文で書く |
よく見られる誤りは、締切の前後の結論を「翌々月以降の課金停止となる場合があります」のように書いてしまうことです。期限に間に合ったときの結論は分かっても、間に合わなかったときに次回分が請求されるのかどうかが読み取れません。お客様は、請求されるかどうか分からないまま申し出ることになり、請求が来てから争いになります。「完了していない場合は、次回分を発送・請求し、その次の回から停止する」と、間に合わなかった場合の結論も確定した文にします。
窓口は「申込みと同程度の手間」で使えるか
申込みは画面のボタンひとつで済み、解約は電話だけ、受付は平日の昼間だけ、本人確認の書類のコピーが必要、という非対称は、解約を妨げる設計と見られます。ガイドラインも、電話をしたうえでさらにメッセージアプリの操作が必要、追加の個人情報が必要、受付の時間帯を限っている、申込みと同じ手段での解約連絡を受け付けない、といった限定は、最終確認画面で明確に示すべきだとしています。示せば有効になる、という意味ではありません。申込みの手段で解約もできるようにし、電話は併設の窓口にとどめるのが無理のない設計です。
なお、消費者契約法3条1項4号は、事業者に、消費者の求めに応じて、解除権の行使に必要な情報を提供するよう努めることを求めています。理由の回答を解約の条件にすると手続を妨げていると見られるため、理由の聴取は完了後の任意にとどめます。
回数の縛りと途中解約の精算
「初回980円。ただし4回の継続が条件」のように、回数の縛りを条件に初回を安くする売り方があります。縛りがあること自体は禁止されていません。ただし、①縛りは分量と総額の一部として最終確認画面に出す、②途中で解約された場合に払う金銭は、説明できる額にする、の2点が必要です。
②で問題になるのが、「縛りの途中で解約したときは、通常価格との差額を請求する」という定めです。先の計算例(通常価格3,500円、初回特別価格980円)で、1回だけ受け取って解約した人に、通常価格との差額2,520円(3,500円−980円)を後から請求するとします。この金額は、すでに届いた商品の代金ではなく、解約に伴って支払う金銭として働きます。消費者との契約で、解除に伴う損害賠償の額の予定や違約金が、同種の契約の解除に伴って事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、その超える部分が無効になります(消費者契約法9条1項1号)。中途解約に伴う精算金がこの規定の対象になるか、ならずに民法420条・90条や消費者契約法10条で審査されるかは、構成によって分かれ得ます。いずれにしても、請求する額が何に対応するのかを説明できなければなりません。
設計の選択肢は2つあります。縛りを置かない設計(初回割引は初回限りとし、2回目以降は締切までにいつでも止められる)は、精算が生じず、表示も規約も簡単です。縛りを置く設計では、縛りの回数を分量・総額として表示し、精算の算定式を最終確認画面と規約で同じ数字・同じ言葉にそろえます。どちらを選ぶかは事業者の判断です。
条文例(新しく書き起こした例) 第◯条(定期購入の解約)
- お客様は、次回発送予定日の○日前の○時までに、マイページの「定期購入の解約」の操作、又は当社所定のメール窓口への連絡により、定期購入を解約することができます。電話による受付は、○時から○時までとします。
- 前項の期限までに解約の手続が完了したときは、当社は、次回以降の発送及び請求を行いません。期限を過ぎて手続が完了したときは、次回分を発送及び請求し、その次の回から発送及び請求を停止します。
- 解約の手続の完了時点は、マイページでは操作の完了画面が表示された時、メール又はフォームでは当社がその受信を記録した時とします。
- 解約の手続が完了したときは、当社は、完了の日時及び最後の発送となる回を、直ちにお客様のメールアドレスに通知します。
- 当社は、解約の理由の回答を、解約の条件としません。
- すでに発送した回の代金は、第○条(返品)に定める場合を除き、返金しません。
締切の「○日前」は、発送準備に入る日に合わせて決めます。回数の縛りがある場合は、別に、途中解約の精算の条を設けます。
定期購入の決済が失敗したときの前提となる、チャージバックや後払いの未払いの扱いについては、チャージバック・不正注文・後払いの未払いと決済代行契約の記事で詳しく説明しています。
発送・スキップ・決済失敗・価格変更:規約で決める順序
定期購入の日々の運用は、解約より、スキップや住所変更、カードの失敗、値上げといった中間の出来事で揉めます。これらは締切と順序を決めておけば、ほとんどが規約の数行で整理できます。1回分の流れの中で、締切を置く位置を整理します。
定期購入の1回分の流れと、締切を置く位置
- 1締切日変更・スキップ・解約を受け付ける最後の日締切後の申出は、次の回から反映すると書く
- 2請求カードへ請求する(前払い)か、同梱の請求書で払ってもらう(後払い)か決済に失敗したときの扱いは、ここで決める
- 3発送在庫の引当・梱包・出荷発送後は取り消せないこと、取り消せる場合の条件を書く
締切を「請求」や「発送」の後ろに置くと、止めたい人の申出が間に合わない設計になります。
よく起きる場面ごとに、規約で決めておく内容を整理します。
| 場面 | 決めること | 書き方の要点 |
|---|---|---|
| スキップ・休止 | 締切、連続して休止できる回数や期間、休止中の価格の扱い、上限を超えたときの扱い | 上限を超えたら自動で解約扱いにするなら、事前に通知する旨まで書く |
| 住所・カード情報の変更 | 締切、締切後は旧情報で発送・請求すること、届かなかった場合の再送の費用 | お客様の登録情報の変更を忘れた場合の負担を決めておく |
| 決済の失敗 | 発送の保留、再請求の期限、期限後の取消し、定期購入そのものの扱い | 催告なく契約を解除すると書かず、通知と猶予を挟む |
決済が失敗したとき
カードの有効期限切れや限度額の超過は、定期購入では日常的に起きます。「決済ができない場合は、催告なく契約を解除し、未払分を直ちに支払う」と書いている規約を見かけますが、継続的に買ってくれているお客様に、一度の失敗で通知もなく解除する運用は、苦情のもとになります。民法541条は、相手が債務を履行しないときは、相当の期間を定めた催告をして、その期間内に履行がなければ解除できると定めています。規約でこれを無催告にすれば、消費者契約法10条の審査を受けます。
実際の運用に合う書き方は、①その回の発送を保留する、②登録のメールに通知する、③一定の期間内に決済手段の変更か再請求で支払ってもらう、④期間内に支払われなければ、その回を取り消し、以後の回も停止する、という順序です。遅延損害金を取る場合は、支払期日の翌日から支払日まで、年14.6%を超える部分が無効になります(消費者契約法9条1項2号)。
条文例(新しく書き起こした例) 第◯条(決済の失敗)
- 各回の代金の決済が完了しないときは、当社は、その回の発送を保留し、お客様のメールアドレスにその旨を通知します。
- お客様は、前項の通知の日から○日以内に、決済手段の変更又は再請求への対応により、代金を支払うものとします。
- 前項の期間内に支払が確認できたときは、当社は、発送を再開します。この場合、発送は当初の予定日より遅れることがあります。
- 第2項の期間内に支払が確認できないときは、当社は、その回の注文を取り消し、以後の回の発送を停止することができます。この場合、当社は、お客様にその旨を通知します。
- 当社は、本条に基づく取消し又は停止について、遅延損害金その他の金銭を請求しません。
遅延損害金を請求する設計にするなら、第5項を差し替えます。その場合も、年14.6%を超える部分は無効になります。
価格や内容を変えるとき:規約の変更と「各回の価格」の関係
値上げやリニューアルは、規約(定型約款)の変更の手続で行います。変更が契約をした目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更することがある旨の定めの有無などに照らして合理的なときは、個別の合意なしに契約の内容を変更できます(民法548条の4第1項2号)。ただし、効力発生時期を定め、変更する旨と変更後の内容、効力発生時期を、インターネットの利用その他の適切な方法で周知しなければならず、効力発生時期が来るまでに周知しなければ、効力を生じません(同条2項・3項)。
物販の定期購入では、これに二つの工夫を足すと運用しやすくなります。一つは、「適用を開始する日以後に発送する回から適用する」と書くことです。もう一つは、周知の日から適用開始日までの間に、解約の締切が来るようにしておくことです。値上げを知ったお客様が、値上げ前の最後の回を受け取って止められる形になります。
条文例(新しく書き起こした例) 第◯条(価格・送料・商品内容の変更)
- 当社は、定期購入の商品の価格、送料又は内容を変更するときは、変更の内容及び適用を開始する日を、適用開始日の○日前までに、当社ウェブサイト上の掲示及びお客様のメールアドレスへの通知により周知します。
- 変更後の価格、送料又は内容は、適用開始日以後に発送する回から適用します。ただし、回数を定めたコースについて、お申込みの際に表示した各回の代金は、その回数が終了するまで変更しません。
- お客様は、第1項の変更に同意されないときは、適用開始日より前の第○条の締切までに、定期購入を解約することができます。
価格の改定そのものは、事業者の判断で行えます。この条文例は、周知の時期と解約の機会、適用の開始を整えるためのものです。規約を変更する場合の周知の手順は、ショップの利用規約の設置と改定でも触れています。
初回の割引価格や「通常価格」の表示の考え方については、二重価格・セール表示とポイント還元の書き方の記事で詳しく説明しています。
返品特約と定期購入:返品されたら、以後の定期はどうなるのか
ネットショップの販売にはクーリング・オフの制度がありません。その代わり、返品についての特約を広告に表示していなければ、お客様は商品を受け取った日から8日を経過するまで、申込みの撤回や契約の解除ができ、返送の費用はお客様の負担になります(特定商取引法15条の3第1項・2項)。特約は、広告に加えて、注文の操作を行う画面にも、見やすい箇所に明瞭に判読できる形で表示します(同条1項ただし書、施行規則44条)。定期購入でも同じで、各回の商品が対象になります。
定期購入で追加で決めておく点は、「1回分を返品したときの、以後の回の扱い」です。次の2つの型があり、どれを選んでも、最終確認画面と規約に同じ文で書きます。
| 型 | 内容 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 継続型 | 返品しても定期購入は続き、次回は予定どおり発送・請求する | 返品と解約は別の手続であることを、返品の案内に書く。返品したのに次の回が届いた、という苦情を避ける |
| 連動停止型 | 返品を受け付けたときは、翌回以降の定期購入も停止する | ガイドラインの画面例にも、返品された場合に以後の契約も自動で解約される旨を示す例がある。お客様が停止を望まない場合の扱いも書く |
品質の問題は、返品特約の話とは別です。引き渡された商品が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないときは、買主は、修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる追完を請求できます(民法562条)。種類又は品質の不適合は、買主が知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります(民法566条)。「返品不可」と書いても、この責任はなくなりません。「配送の遅れや不達で生じた損害について、当社は一切責任を負わない」のような、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項は、消費者契約では無効になります(消費者契約法8条1項1号)。
賞味期限や消費期限のある食品、開封すると戻せない化粧品の定期便では、返品を受けない理由を具体的に書き、品質の不良の補償と分けて定めます。この点は返品特約と返品ポリシー・返金ポリシーの書き方と食品のネット販売の許可と表示で詳しく扱っています。責任の上限を「過去の一定期間に受け取った金額」で置く場合の考え方はネットショップの免責条項と契約不適合にあります。
よくある失敗と直し方
定期購入の規約や表示には、よく見られる書き方の誤りがあります。次の例は、特定のお店の書類ではなく、一般的に見られる型を、直し方とともに並べたものです。
書き方の例(一般的な例) |定期購入の規約・表示でよく見られる誤り
解約の締切の前後の結論
「場合があります」で終えると、間に合わなかったときに請求されるかどうかが確定しません。起点のある日付と、前後の結論の両方を確定した文にします。
規約の変更の周知
効力発生時期を定めて、その前に周知しないと、変更は効力を生じません(民法548条の4第2項・3項)。「適当と認める方法」だけでは、周知の記録も残りません。
返品不可の根拠
返品の特約の条文は15条の3です。15条の2は別の規定(役員等に対する業務の禁止等)なので、条番号を引くときは誤りやすい点です。番号を書かずに趣旨だけ書く方法もあります。
ヒヤリングで確認すること
定期購入の書類は、お店の運用を聞かないと書けません。聞く内容は、その答えが書類のどこに効くかとセットで整理しておくと、聞き漏れが減ります。
| 確認すること | 理由(書類のどこに効くか) |
|---|---|
| 何回届けるコースか(回数の定め、無期限) | 分量と総額の表示の出発点になる。無期限なら、その旨と、期間を区切った目安の額の出し方を決める |
| 回数の縛りの有無、途中解約の扱い | 縛りの表示と、精算の額の根拠を決める。縛りがなければ精算の条は不要になる |
| 請求と発送の順(前払いか後払いか、請求から発送までの日数) | 解約の締切を置く位置が決まる。請求後に解約された場合の返金の扱いにも効く |
| 次回の発送日の決まり方(前回から○日後、毎月○日、など) | 締切の基準日になる。お客様が確認できる形で表示できるかを確かめる |
| 解約の受付の手段と体制(マイページ、メール、電話の受付時間、返信の早さ) | 窓口の条項と、最終確認画面の表示を決める。電話を載せるなら、つながる体制があるかを確かめる |
| 申込み画面の実物(お試し、無料、割引の文言、ボタンの文言、初期の選択状態、スマホでの見え方) | 誤認させる表示になっていないかを、位置・大きさ・色の関係で確かめる。スマホでは縦に長くなり、条件がボタンの下に回りやすい |
公開前の確認リスト(定期購入)
- 最終確認画面に、各回の分量と回数、各回の代金と総額、支払時期、引渡時期、解約の条件が出ている
- 「お試し」「初回○円」「いつでも解約可能」の近くに、定期購入であることと、2回目以降の代金・解約の条件が同じ程度の大きさで出ている
起きがちなこと
定期購入で起きがちな食い違いを、一般的な例として挙げます。
共通するのは、申込みの場面で見た内容と、後から届く請求や規約の内容が違っている点です。画面、メール、表記、規約は、同じ言葉で、同じ日に直す運用にしておきます。
よくあるご質問
定期購入の最終確認画面には、何を表示する必要がありますか。
分量と、販売価格・支払の時期と方法・引渡時期・申込みの期間・申込みの撤回又は解除に関する事項です(特定商取引法12条の6第1項)。定期購入では、消費者庁のガイドラインにより、各回の数量と届く回数、各回の代金と支払総額、各回の支払時期と引渡時期、解約の申出に期限があればその期限や、違約金その他の不利益があればその内容まで表示するものと整理されています。
「初回無料」「お試し」と書くこと自体が違法になりますか。
書くこと自体が禁止されているわけではありません。問題になるのは、それを強調する一方で、定期購入であること、2回目以降の代金、解約の条件を、離れた位置に小さな文字で書き、人を誤認させる場合です(同法12条の6第2項)。誤認して申し込んだお客様は取消しができ(同法15条の4)、2項の違反には百万円以下の罰金があります(同法72条1項4号)。
定期購入の解約を、電話のみの受付にしてもよいですか。
ガイドラインは、解約の手段を限る場合があることを前提に、手段や受付時間を限る場合は、最終確認画面にも明確に表示する必要があるとされ、電話を載せるならつながる番号でなければなりません。表示をしても、制限が民事上有効になるとは限らず、消費者の権利を不当に制限する条項は消費者契約法により無効になり得ます。申込みと同じ手段でも解約できるようにするのが無理のない設計です。
回数の縛りを付けて、途中で解約された場合に、通常価格との差額を請求できますか。
請求する額が何に対応するのかを説明できる場合に限られます。解約に伴って支払う金銭として、同種の契約の解除に伴って事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効になります(消費者契約法9条1項1号)。この規定の対象にならない構成でも、民法420条・90条や消費者契約法10条で審査されます。縛りの回数と精算の算定式を、最終確認画面と規約で同じ内容にしておきます。
規約を変更すれば、定期購入の価格を全員に値上げできますか。
規約の変更の要件を満たし、効力発生時期を定めて、その前に変更の内容を周知すれば、個別の合意なしに契約の内容を変更できます(民法548条の4)。ただし、回数と各回の代金を約束して申し込んでもらったコースでは、その各回の代金は注文の時の内容なので、規約の変更条項だけで途中で上げられるかは慎重に考える必要があります。回数の約束がある間は価格を据え置く、と規約に書く方法があります。
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本ページは一般的な情報提供です。許可・届出・免許の運用は、所管の行政機関によって異なることがあります。紹介している書き方の例は、ネットショップの利用規約・特定商取引法に基づく表記・返金ポリシー、酒類の免許、化粧品・中古品・OEM・販路の契約書などについて、一般的な論点を整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者庁 / 国税庁 お酒に関する情報