マーケットプレイス・フリマ運営の出品者規約:手数料・売上金の精算・エスクロー・返品の書き方

他社や個人の出品を載せるショップの規約は、売主、手数料、代金の所在、返品の責任の四つに同じ答えを返せるかで決まります。

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このページの要点

  • 商品ごとに売主を決め、商品ページと申込み画面に出す。特商法の表示は出品者の分が要り、運営者の表記だけでは足りない。
  • 「運営者は当事者にならない」と書いても、成立の確認・返金の裁定・売上金の控除を運営者が握る規約は、その一文と食い違う。
  • 手数料は、率・対象額・確定時点・返金時の戻しを決める。対象額の定め方だけで、出品者の売上金が変わる。
  • 返品の条件は「みなし」で補わず、出品フォームの必須欄から商品ページと最終確認画面に出す。「預かる」は代金の実際の流れに合わせて書く。

自社のネットショップに他の事業者や個人の出品を載せはじめると、これまで規約に書かなくて済んだ4つの問いに答える必要が出ます。画面に並ぶ商品の売主は誰か。手数料は何に、いつ掛かるのか。購入者が払った代金は、誰の手元にあって、いつ出品者のものになるのか。返品や不良品の責任は、誰がどこまで負うのか。

結論から言うと、規約に「運営者は取引の当事者にならない」と一文を置くだけでは足りません。売買契約の成立を運営者の代金確認にかけたり、返金の判断を運営者が握ったり、売上金を運営者の判断で留保・控除できると書いたりしている規約は、一文目と食い違い、トラブルのときに説明が苦しくなります。直す順番は、①お金と注文の実際の流れを図に描く、②その流れどおりに規約・商品ページ・申込み画面・特商法の表示をそろえる、③流れにない権限(一方的な没収など)を規約から外す、の三つです。

このページは、物を売るネットショップが出品者を受け入れる場面に絞ります。フリマやマッチングサービス一般の規約の作り方、代金を預かる仕組みと資金決済法などとの線引きは、姉妹サイトの解説にゆずります。

直販と出品が同居するとき、商品ごとに売主を決め、画面と表記に出す

ショップに出品者を迎えると、1つのカートに「運営者が売る商品」と「出品者が売る商品」が並びます。売買は、当事者の一方が財産権を相手方に移転することを約し、相手方が代金を支払うことを約して成立する契約です(民法555条)。この売主が誰かで、返品を受けるのも、不良品の責任を負うのも、特定商取引法の表示を出すのも、その人になります。規約の最初の仕事は、売り方の形を決め、形ごとの売主を言い切ることです。

売り方の4つの形と、規約の中心
売り方の形売主購入者が代金を払う先規約の中心になるもの
運営者の直販運営者運営者(決済事業者を通す場合を含む)ショップの利用規約、特商法に基づく表記、返品特約
出品型(購入者と出品者が直接売買する)出品者設計による(決済事業者経由、出品者の口座など)出品者規約、手数料、売上金の精算、返品条件の表示欄
運営者が代金を受けて出品者に渡す型出品者運営者または決済事業者売上金・保留・相殺の条項、「預かる」の書き方
委託販売(預かった商品を運営者が売主として売る)運営者運営者出品者規約ではなく委託販売契約書とEC運営の外注契約

中古品の出品を受けるなら、古物営業法の許可の要否も別に生じます(古物商許可は必要か・申請の手続)。

特商法の表示は、出品者ごとに要る

インターネットで申込みを受けて商品を売る取引は、通信販売です(特定商取引法2条2項)。通信販売の広告をする販売業者は、価格と送料、代金の支払時期と方法、引渡時期、申込みの期間、申込みの撤回や解除に関する事項などを表示しなければなりません(同法11条)。出品型では、この販売業者は出品者です。運営者の表記ページに運営者の情報だけを載せても、出品者の分は出たことになりません。商品ページに、販売者の名称と区分(事業者か個人か)、連絡先、送料、発送時期、返品の条件を出し、詳しい表示へ1クリックで進める作りにします。出品者の住所や電話番号を全面公開しない運用にするなら、請求があれば遅滞なく提供する旨を表示して一部を省く仕組み(同法11条ただし書)が使えるかを、ネットショップの特定商取引法に基づく表記と合わせて検討します。

申込み画面にも表示事項があります。販売業者は、申込みの手続が表示される画面に、商品の分量と価格・送料、支払、引渡時期、申込期間、撤回・解除に関する事項を表示し、申込みになることを誤認させる表示をしてはなりません(同法12条の6)。画面を作るのは運営者でも、表示する中身は出品者が入力した内容です。出品フォームで必須にして、そのまま画面に出す仕組みが要ります。購入者に見せる価格は総額表示です(消費税法63条)。

出品者が個人の場合、営利の意思をもって反復継続して販売する人は、販売業者として扱われることがある、と行政の資料で説明されています。登録時に「事業者」「個人(事業としない)」の区分を自己申告させ、疑いのある出品者への確認の基準(出品数、同じ種類の繰り返しなど)を運営の手順に書いておきます。また、消費者が画面の手続で販売業者に申込みできる場を提供する運営者には、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法に基づく取組みも関わります。販売業者への連絡手段や苦情への対応は、規約と運営の手順に落としておきます。

第◯条(売主の表示と契約の当事者)の書き方の例

  1. 本サービスで販売される商品の売主は、各商品ページに「販売者」として表示された者とします。「当社販売」と表示された商品の売主は当社、その他の商品の売主は、その商品を出品した出品者です。
  2. 購入者と販売者の売買契約は、購入者が購入手続を完了し、決済が承認された時に成立します。
  3. 当社は、出品者が販売者である商品について、商品ページ、申込み画面及び注文確認メールに、販売者の名称、区分、販売価格、送料、発送時期、返品の条件を、出品者が入力した内容のとおり表示します。
  4. 出品者は、前項の表示に必要な事項を出品時に正確に入力します。未入力の項目がある商品は出品できません。

成立の時点は、運営者の判断ではなく、決済の承認という事実に結び付けます。

「運営者は当事者にならない」と書けば足りるか

足りません。この一文は、規約の他の条項、画面、運営の実際がそろって初めて働きます。冒頭に「運営者は売買契約の当事者にならない」と置き、その先に運営者が成立・返金・売上金を握る条項が続く書き方がよく見られ、三つの場面で食い違いが出ます。

書き方の例(一般的な例) |運営者の立場に関する条項

売買契約の成立

よくある書き方売買契約は、当社が購入者の代金の支払の完了を確認した時に成立する。成立後は、購入者が自己都合で取り消すことはできない。ただし、当社又は出品者が認めた場合を除く。
整えた書き方売買契約は、購入者が購入手続を完了し、決済が承認された時に、購入者と出品者の間に成立する。成立後の購入者都合の取消しは、出品者が承諾した場合に限る。当社は承諾の可否を決めない。

成立を運営者の「確認」にかけると、運営者が契約の成否を決める立場に見える。承認という事実に結び付ける。成立前の申込み画面の表示は注文確認メールと契約の成立と同じ考え方で整える。

返金の判断

よくある書き方返品・返金の争いは、双方の協議が整わないとき、当社が取引記録をもとに合理的な裁定を行う。当社は、その結果について責任を負わない。
整えた書き方当事者の協議が整わず、双方が求めたときは、当社が取引記録に基づく解決案を示す。案に従うかどうかは、各当事者が決める。第◯条の返金事由に当たるときは、同条の手順で返金する。

「裁定」は拘束力のある判断を思わせる。実態が解決案の提示なら、そう書く。返金の事由と手順を条文にすれば、運営者の裁量が問われる場面が減る。

問い合わせの窓口

よくある書き方当社は、利用者間のトラブルに原則として関与しない。
整えた書き方購入者からの問い合わせは当社が受け付け、出品者に取り次ぐ。出品者は取次ぎから○日以内に回答する。期限内に回答がないときは、第◯条の手順を進める。

窓口を引き受けているのに「関与しない」と書くと実態とずれる。範囲と期限を書くほうが、責任の線も引ける。

運営者が決める事項(出品の削除・停止、返金の運用など)が多いほど、運営者の関与は深く見えます。運営者が決める事項には、条文に判断の基準を書きます。

手数料:何に、いつ、誰に掛けるかを、計算例で比べる

手数料の条項は、率だけ書いても動きません。①率(定率か定額か)、②掛ける対象額(商品価格だけか、送料を含むか)、③確定する時点(注文時、発送時、受取確認時)、④返金のときに戻すか、の四つを決めて書きます。実務の規約で見られる書き方には、次の問題があります。

  • 予約や注文の成立で手数料が発生し、サービスの提供の有無や、キャンセル料を出品者が受け取ったかどうかを問わない。
  • 購入者側にも手数料を取るのに、返金のとき購入者側の手数料がどうなるかが書かれていない。

対象額と返金時の戻しは、金額にすると差が見えます。次の設定で計算します(数値は説明のための例です)。商品価格は10,000円(税込の総額)、送料は800円(購入者の負担)、販売手数料率は10%、決済手数料率は3.6%(購入者の支払総額に対して決済事業者に支払い、出品者が負担する定め)、1円未満は切り捨てです。

対象額の定め方で、出品者の売上金が変わる
項目A:商品価格だけに掛けるB:商品価格+送料に掛ける
購入者の支払総額10,800円10,800円
販売手数料(10%)10,000円×10%=1,000円10,800円×10%=1,080円
決済手数料(3.6%)10,800円×3.6%=388円10,800円×3.6%=388円
出品者の売上金10,800-1,000-388=9,412円10,800-1,080-388=9,332円
全額返金(10,800円)のとき、手数料の戻し方で出品者の負担が変わる(Aの場合)
戻し方の定め出品者の負担備考
販売手数料も決済手数料も戻す0円決済事業者から決済手数料が戻る取扱いかの確認が前提
販売手数料は戻し、決済手数料は戻さない388円返金で決済手数料が戻らない取扱いと整合する
どちらも戻さない1,388円返品の多い出品者の不満が大きい

部分返金のときは、返金額に率を掛けて戻すのが分かりやすい書き方です。商品代金を3,000円だけ返金するなら、販売手数料は3,000円×10%=300円を戻します。どの定め方でも、本文、料金表、出品フォームの表示を同じ計算にそろえます。

手数料の変更は、定型約款の変更の規定に沿います。効力発生時期を定めて周知し、合理性を理由とする変更は、その時期までに周知しなければ効力を生じません(民法548条の4第2項・3項)。実務では、確定済みの取引には旧率を適用し、同意しない出品者が効力発生日の前に退会できる形にします。手数料の支払が遅れたときの遅延損害金は、出品者が個人で事業としていない場合、消費者契約になり得ます。消費者契約では、年14.6%を超える部分が無効です(消費者契約法9条1項2号)。出品者の区分によって書き分けるか、全員に14.6%以内の率を使います。

第◯条(販売手数料)の書き方の例

  1. 出品者は、商品が販売されたとき、その商品の販売価格(購入者が支払う商品代金。送料を含みません。)に、各商品ページ又は料金表に表示する販売手数料率を乗じた額(1円未満は切り捨てます。)を、販売手数料として当社に支払います。
  2. 販売手数料は、購入者の受取の確認が完了した時(第◯条の自動確認を含みます。)に確定します。確定前に売買契約が解除され、又は代金が返金されたときは、販売手数料は発生しません。
  3. 確定後に代金の全部又は一部を返金したときは、返金額に販売手数料率を乗じた額を、次回の売上金の支払で出品者に戻します。
  4. 決済手数料は出品者の負担とします。返金により決済事業者から決済手数料が戻らない場合、その額は出品者の負担とします。
  5. 当社は、販売手数料率を変更するときは、効力発生日の○日前までに、出品者に通知します。変更後の率は、効力発生日以後に確定する販売手数料に適用します。変更に同意しない出品者は、効力発生日の前日までに退会できます。

確定の時点を受取確認に置くと、返品が多い出品者の手数料の戻しが少なくて済みます。注文時に確定させる設計なら、第3項の戻しを厚く書きます。

出品者への売上金の精算に関わる、チャージバックや不正注文への備えについては、チャージバック・不正注文・後払いの未払いと決済代行契約の記事で詳しく説明しています。

売上金はいつ、誰の手元にあるのか:精算・保留・相殺・エスクロー型

売上金の条項は、流れの各点で「いま誰の手元にあるか」を言い切れるように書きます。代金は、決済の承認から出品者の口座に入るまでに、いくつかの状態を通ります。

代金が出品者の売上金になるまで(受取確認型の例)

  1. 1決済の承認購入者の代金が決済事業者で承認されるまだ出品者のものではない。成立の時点
  2. 2発送出品者が発送し、追跡情報を登録する追跡がないと不着の争いが重い
  3. 3受取の確認購入者が操作する。操作がなければ、配達完了から○日で自動確認確認の前後で、保留の扱いが変わる
  4. 4売上金の確定手数料を除いた額が売上金になるここから出品者の請求権が具体化する
  5. 5締めと支払月末締め・翌月払いなど。最低支払額未満は繰り越し控除と相殺は、支払の前に行う

留保・控除・相殺は、事由を列挙して限る

よく見られる書き方に、「その他、当社が合理的な理由に基づき控除が必要と判断した場合」という受け皿があります。運営者の判断だけで売上金を差し引けると読めるため、事由を返金の確定、決済上の不正の具体的な疑い、確定した債務の三つのように限り、調査のための保留には期間を付けます。相殺は、当事者の一方から相手方に意思表示をして行います(民法506条1項)。双方の債務が弁済期にあることなどが要件です(同法505条1項)。規約には、相殺できる債権の種類と、相殺するときに金額を出品者へ通知することを書きます。

連絡のつかない出品者の売上金と、反社・違法取引の場合

「出品者が6か月以上連絡に応じないときは、売上金の支払義務を免れる」という条項も見られます。売上金は出品者の債権です。債権は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年で時効消滅しますが(民法166条1項)、運営者が一方的に支払義務を免れると定める条項は、相手方の利益を一方的に害するものとして、定型約款の合意の対象から外れるおそれがあります(同法548条の2第2項)。連絡がつかない場合は、保管の期間、複数の手段での再通知、なお受け取られないときの処理(受領できない債権者のための弁済供託という方法があります。同法494条)を書くほうが、運営者の側も説明しやすくなります。反社会的勢力や違法取引が判明したときの「支払の停止又は無効」も、停止(調査中の保留)と、無効(請求権の否定)は別です。無効とするなら、事実の通知と弁明の機会を前に置きます。

受取確認まで代金を保留する(エスクロー型)と、預り金の書き方

エスクロー型は、商品が届くまで代金を第三者の手元に保留し、受取確認の後に出品者へ渡す仕組みです。規約に書く前に、保留しているのは運営者か決済事業者か、保留中の代金を運営者の財産と分けて管理しているか、運営者に倒産や差押えがあったとき購入者と出品者はどうなるか、の三つを確かめます。

「預かる」という言葉は、民法の寄託を連想させます。寄託は、ある物の保管を委託し、相手方が承諾して成立する契約です(民法657条)。受け入れた金銭を運営者が自由に使える形なら、同種・同量の物で返還する消費寄託の関係になります(同法666条1項)。決済事業者に保留を任せているだけなら、「当社は代金を預かる」ではなく、「代金は決済事業者を通じて保留される。当社は保管しない」と、実態のとおりに書きます。他人のために代金を受け入れて渡す設計は、為替取引、預り金、前払式支払手段の規制との関係を設計の段階で確かめる必要があります。条文と所管官庁の資料による確認が要る事柄で、このページでは判断しません。売上金を残高やポイントとしてためる設計は、お金で買うポイントやギフトカードの扱いにも近づきます(Shopify・BASEで開店するときの利用規約の設置の「ポイントとギフトカード」の項)。

受取確認の後で、購入者は商品の不適合を主張できなくなるのでしょうか。受取の操作は、引渡しを受けたことの確認にすぎません。買主は、種類・品質に関する不適合を知った時から1年以内に通知すれば、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除ができます(民法562条・563条・566条)。「受取確認後は一切の異議を述べられない」と書く規約は、消費者との売買で、消費者契約法10条の評価を受けるおそれがあります。

第◯条(売上金)の書き方の例(決済事業者が保留する設計の場合)

  1. 売上金は、購入者が支払った商品代金のうち、販売手数料、決済手数料その他この規約に定める費用を除いた額とします。
  2. 購入者の代金は、受取の確認が完了するまで、決済事業者を通じて保留されます。当社は、保留されている代金を保管せず、自己の事業のために使用しません。
  3. 売上金は、受取の確認(購入者の操作、又は配達完了から○日の経過による自動確認)が完了した時に確定します。確定は、商品が契約の内容に適合しない場合の出品者の責任を免除するものではありません。
  4. 当社は、毎月末日までに確定した売上金を、翌月○日に、出品者が登録した口座へ振り込みます。支払額が○円に満たないときは、翌月以降に繰り越します。振込手数料は出品者の負担とします。
  5. 当社は、次の場合に限り、売上金の支払を保留し、又は売上金から控除します。 (1) 購入者への返金が確定したとき(返金額の範囲)。 (2) 決済上の不正の具体的な疑いがあるとき(調査に必要な期間で、理由を通知します。)。 (3) 出品者の当社に対する債務が確定したとき(相殺する旨と金額を通知します。)。

決済事業者が保留する設計でない場合、第2項はそのまま使えません。実態に合わない保証は書きません。

出品者や紹介者に成果報酬を払う場合の契約と広告表示については、アフィリエイト・SNS・ライブ配信で売るときの契約と広告表示の記事で詳しく説明しています。

返品・不良品の責任を出品者規定に委ねるとき

返品の条件を出品者ごとに違えること自体は、できます。問題は、表示を出品者任せにして、「出品者規定に明示がなければ、返品不可・返金不可とみなす」と運営者の規約で補う書き方です。特定商取引法は、通信販売の広告をした販売業者の商品について、購入者が商品の引渡しを受けた日から8日を経過するまで申込みの撤回や解除ができると定め、販売業者が撤回等についての特約を広告に表示していた場合は除いています(同法15条の3第1項)。インターネットで申込みを受ける場合は、広告への表示に加えて、省令の定める別の方法でも表示していたときに特約が働く、とされています(同項ただし書)。運営者の規約に「みなす」と書いても、購入者が見る商品ページや申込み画面に特約が出ていなければ、出品者が特約を表示していたことにはならない、と読むのが安全です。

運営者の仕事は、みなし規定を書くことではなく、表示が漏れなく出る仕組みを作ることです。出品フォームに、返品の可否、受付期間、返送料の負担者の必須欄を置き、商品ページと最終確認画面にそのまま出します。返品特約の書き方は返品特約と返品ポリシー・返金ポリシーの書き方と同じ考え方です。

商品に不適合があるときの責任は、返品特約とは別の問題です。出品者規定に「返品不可」とあっても、契約の内容に適合しない商品を引き渡した売主の責任(民法562条・563条・566条)は残り、免責の特約をしても、知りながら告げなかった事実の責任は免れません(同法572条)。免責条項の書き方はネットショップの免責条項と契約不適合で整理しています。

申出から返金までの手順(書き方の例)

  1. 申出購入者が、不良品・説明と違う商品は不適合を知った後すみやかに、購入者都合の返品は出品者の定める期間内に、取引画面から申し出る。二つを分ける
  2. 出品者の回答出品者は申出から○日以内に、返送・交換・返金のどれにするかを回答する。期限内に回答がなければ、運営者が次の段階へ進める
  3. 返送と検品返送は追跡できる方法で行い、返送料の負担は商品ページの表示に従う。不良品の返送料は出品者の負担とする
  4. 返金返金が確定したら、決済事業者を通じて購入者に返金する。原資は売上金からの控除とし、支払済みの売上金は次回以降の支払から控除する

配送中の事故は、引渡しの前後で線が引かれます。売主が引き渡した後に、双方の責めによらない事由で滅失・損傷しても、買主は代金の支払を拒めません(民法567条1項)。引渡し前の事故は売主の側の問題ですから、「届くまでの事故は出品者の負担」「追跡できる発送方法に限る」と書いておきます(ネットショップの配送と在庫の規約)。

第◯条(返品の条件の表示)の書き方の例

  1. 出品者は、出品時に、返品の可否、返品を受け付ける期間、返品に要する送料の負担者を、当社が定める入力欄に入力します。入力のない商品は出品できません。
  2. 当社は、前項の内容を、商品ページ及び購入手続の最終確認画面に、そのまま表示します。
  3. 出品者が返品を受け付けないと入力した商品でも、商品が契約の内容に適合しないときは、購入者は、出品者に対し、民法その他の法令に基づく権利を行使できます。
  4. 購入者の申出から返金までの手順は、第◯条に定めます。

よくある失敗と直し方:免責・上限・規約変更・個人情報・出品者の都合

書き方の例(一般的な例) |運営者の責任・変更・情報の扱い

運営者の免責

よくある書き方当社は、故意又は重大な過失による場合を除き、本サービスに関する一切の責任を負わない。
整えた書き方当社の責めに帰すべき事由により利用者に損害が生じたときは、当社は賠償する。ただし、当社、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き、賠償の範囲は通常生ずべき損害に限る。

故意・重過失を除いても、軽い過失の責任の全部を免除する条項は、利用者が消費者のとき無効になる(消費者契約法8条1項1号・3号)。賠償の範囲を絞るなら、全部の免除ではない形にし、軽い過失にだけ働くことをその条項の中で明らかにする(同条3項)。

賠償額の上限

よくある書き方当社が責任を負う場合でも、その範囲は、損害が発生した月に利用者が当社に支払った金額を上限とする。
整えた書き方当社、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き、当社が購入者に負う賠償の額は、その取引の代金の額を、出品者に負う賠償の額は、直近12か月に出品者が当社に支払った手数料の額を、それぞれ上限とする。

代金が出品者の売上になる構造では、購入者が「当社に支払った金額」は何を指すか不明確で、実質ゼロに近くなり得る。上限の定めは、故意・重過失を除くことを、上限を定めるその一文の中に書く(同法8条3項)。

規約の変更

よくある書き方当社は、事前の通知なく本規約を変更できる。変更後の規約は、掲示した時点で効力を生じ、利用の継続で同意したものとみなす。
整えた書き方当社は、効力発生日を定め、変更する旨と変更後の内容、効力発生日をサイト上とメールで周知して、規約を変更できる。利用者に不利益な変更は、効力発生日の○日前までに周知する。

効力発生時期を定めて周知することが要り、合理性を理由とする変更は、その時期までに周知しなければ効力を生じない(民法548条の4第2項・3項)。

購入者の個人情報

よくある書き方(出品者への提供の定めがなく、出品者が配送先情報を自由に使える。)
整えた書き方購入者は、注文の履行に必要な範囲で、氏名、住所、電話番号が出品者に提供されることに同意する。出品者は、これらを発送と問い合わせ対応の目的に限って利用し、目的外の利用、第三者への提供、販売促進の連絡をしない。法令上の保存が必要な期間を除き、不要になった配送先情報を遅滞なく削除する。

運営者から出品者への提供は、個人データの第三者提供に当たり得る(個人情報保護法27条1項)。取得時に利用目的を通知又は公表する(同法21条)。購入者規約と注文画面で渡す範囲を示す。

出品者の都合によるキャンセル

よくある書き方出品者が自己都合で予約や注文をキャンセルしたときは、そのサービス料金を基礎に当社所定の率で算出した額を請求し、又は売上金と相殺できる。
整えた書き方受注後○日以内に発送しない、又は在庫切れの通知をしないなど、料金表に挙げた事由に当たるときに限り、取引ごとに定めた額を請求する。額は、購入者への対応に実際に要する費用と釣り合う範囲とし、料金表で事前に示す。

契約を続けたまま違反に科す金銭は、賠償額の予定(民法420条)として、公序良俗(同法90条)の評価も受ける。出品者が消費者のときは、消費者契約法10条の問題にもなる。

ヒヤリングで確認すること

条文を書く前に、運営の実際を聞き取ります。確認事項は、規約の条項に直接つながるものです。

ヒヤリングで確認すること
確認すること確認する理由
出品者に想定する人は誰か(法人、個人事業主、不用品を手放す個人)特商法の販売業者に当たるか、消費者契約法の「消費者」に当たるかで、表示、遅延損害金、免責の書き方が変わる
出品者が扱う商品の種類(食品、化粧品、酒類、中古品、手作り品など)許可や表示の要る商品を、禁止出品物の線引きと出品フォームの必須欄に反映するため(食品・化粧品・酒類)
購入者の代金は、どの口座を、誰の名義で通るか「預かる」と書くかどうか、保管の有無、運営者に倒産があったときの説明が決まる
売上金が確定する時点(発送時、受取確認時、自動確認時)と支払サイクル手数料の確定時点と、返金のときの戻しの設計が連動する
手数料の率、対象額、購入者側の手数料の有無、決済手数料の負担者定め方で出品者の受取額が変わり、料金表と規約の食い違いが争いになる
返品の条件を決める人と、商品ページ・申込み画面への出し方特約の表示がなければ、法定の8日間の撤回等が残る
直販の商品と出品の商品を同じカートで買えるか注文確認メールの書き方、領収書の宛名、表記の二層の見せ方が変わる
購入者の配送先を出品者に渡す範囲と時期利用目的の通知、第三者提供の同意、出品者への目的外利用の禁止の書き方が決まる
出品者を停止・退会させるときの、進行中の注文と売上金の扱い売上金の保留と無効の区別、事実の通知の手順を条文にできる

起きがちなこと:書き方と実態がずれたまま、運営が始まる

売主、手数料、代金の所在、返品の責任という四つの問いに、規約・画面・表記・運用が同じ答えを返しているか。公開前に、この一点を通して確かめます。

よくあるご質問

自社のネットショップに他の人の商品を載せるとき、特商法の表示はどうなりますか。

出品者が売主の商品は、通信販売の広告をする販売業者が出品者になるため、価格、送料、支払、引渡時期、返品などの表示は出品者の分が要ります(特定商取引法11条)。運営者の表記ページに運営者の情報だけを載せても足りません。商品ページに販売者の名称と区分、送料、発送時期、返品の条件を出し、詳細な表示に進める作りにします。画面への表示は、出品フォームの必須欄から自動で出す仕組みが堅実です。

規約に「運営者は取引の当事者にならない」と書けば、運営者は責任を負いませんか。

書くだけでは足りません。売買契約の成立を運営者の代金確認にかけたり、返金を運営者が裁定したり、売上金を運営者の判断で控除したりする規約は、その一文と食い違い、責任を問われる場面で説明しにくくなります。成立は決済の承認という事実に結び付け、返金の事由と手順を条文にし、運営者が引き受ける窓口の範囲と期限を書きます。免責も、軽い過失まで全部を免除する書き方は、消費者との関係で無効になります(消費者契約法8条1項)。

出品者への売上金を、返金や違反があったときに運営者の判断で差し引けますか。

判断だけで差し引ける書き方は避け、事由を限ります。返金が確定したとき、決済上の不正の具体的な疑いがあるとき(調査に必要な期間)、出品者の債務が確定したときのように列挙し、相殺するときは金額を通知します。相殺は一方から相手方への意思表示で行います(民法506条1項)。連絡のつかない出品者の売上金を運営者が一方的に免れる条項は、定型約款の不当条項として合意の対象から外れるおそれがあります(同法548条の2第2項)。

購入者が受取確認をしたら、返品や不良品の請求はできなくなりますか。

受取の確認は引渡しを受けたことの確認で、品質の責任の免除ではありません。買主は、種類・品質に関する不適合を知った時から1年以内に通知すれば、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除ができます(民法562条・563条・566条)。返品の条件の表示は別の問題で、出品者が特約を表示していなければ、特商法の法定の8日間の撤回等が残ります(同法15条の3)。

手数料の率を後から変えるとき、出品者の同意は必要ですか。

定型約款の変更の要件(相手方の一般の利益に適合するとき、又は契約の目的に反せず、変更の必要性・相当性などに照らして合理的なとき)を満たせば、個別の同意なしに変更できます。効力発生時期を定め、変更の旨と内容を周知し、合理性を理由とする変更は効力発生時期までに周知しなければ効力を生じません(民法548条の4)。実務では、確定済みの取引に旧率を使い、同意しない出品者の退会の道を残します。

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本ページは一般的な情報提供です。許可・届出・免許の運用は、所管の行政機関によって異なることがあります。紹介している書き方の例は、ネットショップの利用規約・特定商取引法に基づく表記・返金ポリシー、酒類の免許、化粧品・中古品・OEM・販路の契約書などについて、一般的な論点を整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者庁 / 国税庁 お酒に関する情報

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