食品のネット販売:許可・届出と表示

食品のネット販売では、表示、営業の許可・届出、作ってもらう場合の表示の責任の3つを確かめます。

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ウェブの表示は食品表示基準の義務の対象外とされていますが、原産国やアレルゲンがラベルと食い違えば別の問題になります。

このページの要点

  • 容器包装の表示の義務を負うのは食品関連事業者(輸入品なら輸入者)(食品表示法4条・5条)。
  • 商品ページにもラベルと同じ内容を載せ、食い違いがあれば容器包装の表示が優先すると規約に書く。
  • 冷凍・冷蔵の食品を扱うなら、保管と販売の許可・届出の要否を確認する(食品衛生法施行令35条の2)。
  • OEMでは、表示を決めた側が責任を負うと契約で書き分ける。

食品をネットで売るときに確認する3つのこと

食品のネット販売では、利用規約や表記のほかに、①容器包装の表示とサイトの表示、②営業の許可・届出、③作ってもらう場合の表示の責任、の3つを確かめます。事務所の資料では、海外の会社による日本向けの加工食品のネットショップ、加工食品のOEM、プライベートブランドの食品の製造委託(受注者側のレビュー)、生花のギフトの共同販売、精油や健康食品を売るサロンの規約、クラフトビールの製造委託が、この3つの論点の素材になっています。

容器包装の表示とサイトの表示

容器包装に入った加工食品には、名称・原材料名・添加物・内容量・期限・保存方法・原産国名、輸入品なら輸入者の氏名又は名称と所在地などの表示が必要で、表示をする義務を負うのは食品関連事業者(輸入品なら輸入者)です(食品表示法4条・5条、食品表示基準3条)。海外の会社の事例では、輸入者である日本の提携事業者がラベルを貼る整理にしました。

一方、ウェブページ上の表示は、食品表示基準の義務の対象外とされています。それでも事務所は、商品ページにラベルと同じ内容を載せる運用をお勧めしました。理由は3つです。①アレルギーのあるお客様が、購入の前に確認できないことによる事故を防ぐため。②原産国の表示は景品表示法の不当表示の規制の対象で、ラベルと食い違えば問題になるため。③「体に良い」など健康の効果をほのめかす表現は、健康増進法の誇大表示の禁止に触れるおそれがあるため(健康増進法65条)。

利用規約 第◯条(食品の表示と保管)

  1. お客様は、商品の到着後、容器包装に表示された保存方法(常温・冷蔵・冷凍)と賞味期限を確認し、表示に従って保管するものとします。
  2. 商品の容器包装の表示は、輸入者が食品表示法に基づいて行います。
  3. 商品ページに記載する原材料・アレルゲン・原産国は、容器包装の表示との整合を期して作成しますが、両者に相違がある場合は、実際の容器包装の表示が優先します。

表記の「商品について」の欄には、原産国(原料の産地と加工地が同じ国であること)、原材料、表示が義務付けられている特定原材料(えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生・くるみ)を含まない旨、表示の主体(輸入者)を書きました。特定原材料を含まないことの明記は、購入前の安心材料になります。

営業の許可・届出は、扱う食品と保管の方法で変わる

食品の営業は、許可が必要な業種、届出が必要な業種、届出も要らない業種に分かれます(食品衛生法54条・55条・57条、同法施行令35条・35条の2)。施行令35条の2は、届出の要らない営業として、輸入業、貯蔵・運搬のみの営業(冷凍・冷蔵業を除く)、容器包装に入った食品のうち冷凍・冷蔵によらずに保存しても危害のおそれがないものの販売などを挙げています。

営業の許可・届出の確認の分かれ目

  • 常温で保存できる包装済みの食品を仕入れて売るだけ届出も要らない営業に当たり得る(施行令35条の2)。商品の保存の条件をまず確認する
  • 冷凍・冷蔵の食品を扱う貯蔵の営業は冷凍・冷蔵業が届出不要の範囲から除かれている。保管を委託する倉庫の業種と、販売の届出の要否を、提携先と保健所に確認する
  • 自分で製造・加工・小分けをする業種ごとに許可が必要になることが多い。製造をOEM先に任せるなら、製造者の許可を契約で確認する

海外の会社の事例では、冷凍品を扱う冷蔵倉庫の業種と、国内での販売の届出の要否を、提携先と保健所に確認する事項として整理しました。

OEMの食品は「誰が表示を決めたか」で責任を分ける

プライベートブランドの食品の製造委託で、受注者(製造側)からレビューの依頼を受けた事例では、委託者のひな形が、受注者に仕様の問題点を見つける義務を課し、委託者の指示によってもその義務は軽くならず、景品表示法や食品表示法の表示の責任まで受注者に負わせる構造になっていました。受注者から見て最も重いリスクの一つです。

事務所は、注文者の指図によって生じた不適合については請負人が責任を負わないという民法の考え方を根拠に修正を提案しました。あわせて、景品表示法上「表示をした事業者」は表示の内容の決定に関与した事業者とされることから、受注者が表示の決定に関与すると受注者自身も表示の主体になり得る、という両刃の論点として説明しています。

製造委託契約 第◯条(食品表示)

  1. 商品の食品表示は、食品表示法その他の関係法令に適合しなければならない。
  2. 発注者が表示の内容を指定する場合は、発注者がその内容について責任を負う。製造者は、法令上明らかな問題を認めたときは、速やかに発注者に通知する。
  3. 製造者が表示の内容を作成し、又は変更した場合は、製造者がその適法性について責任を負う。

クラフトビールの製造委託で採った、表示を決めた側が責任を負う書き方です。食品・酒類に限らず、OEMの表示の責任の分け方として使えます(OEM・製造委託)。

加工食品のOEM供給契約の改訂

事務所の改訂例|ブランド側の関与の権利

製造への関与

改訂前買主(ブランド側)は製造工程・設備・品質管理に関与する権利を有せず、製造施設への立入り・検査・監査・指示はできない。(依頼者原案)
改訂後原則として関与しないが、立入り・検査・監査を希望する場合は事前の協議のうえ双方の合意で実施でき、条件と範囲は別に協議する、としました。製造条件の変更や特別な仕様は、必要に応じて別の契約を結べるようにしました。

自社のブランドで売る以上、事故やクレームのときに製造の状況を確かめる手段がまったくないのは危険です。全面的な立入りの権利ではなく、協議と合意の手続を置く形で折り合いました。

試作と在庫の報告

改訂前定めなし。(依頼者原案)
改訂後試作・製造テストを協議のうえ実施でき、費用は発注側の負担、試作品は量産品と同じ品質を保証しない、と定めました。毎月の基準日に発注数量・残りの在庫・翌月の原材料の見込みを報告し、一定の期間内に異議がなければ了承とみなす手続も加えました。

発注に基づいて調達した原材料や包材が使われなかった場合の発注側の買取りの義務(仕入価格に合理的な管理費を加えた額)は、原案どおり残しています。

生花や健康食品の場合

花束のギフトの共同販売では、制作側は仕様書と品質の基準を守り、制作に起因する不良(デザインの誤り・花材の劣化・包装の不備)は自己負担で作り直しや返金を行う一方、お客様の都合(イメージ違い、香りや色合いの好み)の返品・交換は原則として応じる義務がない、ただし販売側がクーポンや代替品などの例外の措置をとるときは制作側も協力する、と定めました。SNSやレビューサイトに不利益な投稿がされた場合は、両者で協議し、謝罪・代替の対応・削除の要請などの合理的な措置に協力して取り組むことも書いています(販路と運営の外注)。

店舗のサービスと精油・健康食品の販売を一つの規約で扱うサロンの事例では、BASEのショップにも規約を適用するため、適用の範囲にオンラインショップを含めました。健康食品の商品説明では、病気の治療や予防の効果をうたうと医薬品的な表示として問題になるので、効能の表現は特に慎重に扱います。

食品の表示について、書類を作る前に聞いたこと

海外の会社の日本向け食品ECでは、ヒヤリングシートの一つの部を食品の表示に充てました。取扱商品、保存の区分と賞味期限の目安、表示が義務付けられているアレルゲンの品目を含むか、に加えて、次の3つを聞いています。

  • ラベルを誰が作成し、誰が貼るか。表示の義務を負うのは通常は輸入業者ですが、販売者が主導する場合もあるため確認しました
  • 原産国の表示を統一できるか。原材料の産地と加工した場所が違う場合は、どう表示するか
  • 健康の効果をうかがわせる表現を使う予定があるか。健康増進法65条に触れないよう、使える表現かどうかを納品時にまとめる、と設問に書きました

回答をもとに、表記の「商品について」の欄と、容器包装の表示が優先するという規約の条を書きました。表示の主体と原産国の根拠を、書類を作る前に確かめておく順番です(輸入の構造は海外の会社が日本向けに売るとき)。

加工食品の製造業務委託:試作の承認を本製造の関門にする

加工食品のOEMでは、供給の契約とは別に、製造業務委託の契約も作りました。試作の承認を本製造の前提に置き、原材料と検査の扱いを順に定めています。

製造業務委託の契約で決めた流れ

  1. 試作発注者の指示で試作・テスト製造を行う。費用は事前の見積りと承認による
  2. 承認結果の提出から一定の営業日以内に、発注者が承認又は修正の指示をする。承認がない限り本製造を始めない
  3. 試作の不備製造者の負担で是正する。ただし、発注者の指示や提供した情報に起因するものは除く
  4. 原材料製造者が自己の費用で調達する。契約終了時の余剰は発注者が適正な価格で買い戻し、買戻しまでの管理のリスクは製造者が負う
  5. 納品と検査リードタイムは受注の翌日から一定期間を基準とする。不適合品は再加工・代替品・回収廃棄で対応し、費用は製造者。仕様書の記載の不備や発注者の指示による場合は協議。発注者が検査をしない・結果を通知しない場合は、その遅れで製造者に生じた損害の範囲で修正の義務を免除

価格の見直しは、原材料費・包材費、労務費、エネルギー・物流費の上昇などを事由に、市場価格の推移などの客観的な資料を添えて書面又はメールで申し入れ、一定期間内に協議して合意書を結ぶ、改定は合意書の時点から適用し、製造済み・納品済みの製品は従前の価格による、としました。製造物責任の条では、第三者の生命・身体・財産に損害が生じた場合に、製造の過程での過失や欠陥が立証されたときなどに製造者に請求できること、製造者は製造物責任に関する法令の遵守・検査と管理・不良が分かったときの通知と是正を行うこと、第三者からの請求には協議して対応することを定めました。解除の事由には「監督官庁から営業停止又は営業許可の取消しの処分を受けた場合」を入れています。食品の営業の許可を前提にした条項です(OEM・製造委託)。

レシピと原材料を指定した側が負う責任

焼き菓子のOEMでは、売買の基本契約にOEMの特約を置きました。発注者が自社のブランドで販売し、製造者は発注者の仕様(レシピ・外型・サイズ・色味・品質・成分)に基づいて製造・供給する、レシピ・ブランド・商標の知的財産は発注者に帰属し製造者は許可なく第三者に販売しない、発注者は製造工程を視察できるが工場の運営には関与しない、という骨格です。

リスクの分担として、製造ミスによる不良は製造者が交換・返金し、発注者が指定したレシピや原材料の問題による品質の不良は発注者が責任を負う、原料の供給が難しくなったら協議する、発注者の都合で終売となったときの未使用の原材料・包材は発注者が買い戻す、と定めました。所有権と危険は発注者の検収の時に移り、検収までの滅失・毀損は製造者の負担です。

プライベートブランドの食品を受注する側から修正を求めた事例でも、同じ考え方を一文にしました。「委託者が指定・承認した仕様(包装の表示内容を含む)に従って製造した商品について、仕様自体に起因する問題は、受注者が義務に違反した場合を除き責任を負わない」。交渉で使う言い方として「仕様とパッケージ表示は御社がお決めになるものなので、その内容自体に起因する部分は御社に、私どもは製造品質に責任を持ちます」も示しています。

あわせて、プライベートブランドの商品では委託者も表示製造業者として製造物責任を負う主体になること(製造物責任法2条3項2号)、製造物責任は原則として引渡しから10年(身体に蓄積する物質による損害や一定の潜伏期間の後に症状が現れる損害は、損害が生じた時から10年)請求され得るため、製造物責任保険に加えて、生産物回収費用保険の付保・保険金額・被保険者・保険料の負担を協議事項に入れることも求めました。賠償の上限と食品の保証期間の組み直しは不適合と免責で紹介しています。

よくあるご質問

食品をネットで売るとき、商品ページにも食品表示が必要ですか?

ウェブページの表示は食品表示基準の義務の対象外とされていますが、アレルギーの事故の防止や、原産国の不当表示を避けるため、容器包装と同じ内容を載せることをお勧めします。食い違いがあればラベルが優先すると規約に書いておきます。

仕入れた包装済みの食品を売るだけでも、営業の許可や届出は要りますか?

冷凍・冷蔵によらずに保存しても危害のおそれがない包装済みの食品の販売は、届出も要らない営業に当たり得ます。冷凍・冷蔵の食品を扱う場合や、小分け・加工をする場合は、保健所に確認してください。

OEMで作った食品の表示ミスは、製造者と販売者のどちらの責任ですか?

表示の内容を誰が決めたかによって分けるのが合理的です。契約で、発注者が指定した表示は発注者の責任、製造者が作成・変更した表示は製造者の責任と書き分け、法令上の問題に気づいたら通知する義務を置きます。

輸入食品をネットで売るとき、誰の名前を表示しますか?

容器包装には輸入者の氏名又は名称と所在地を表示します。特定商取引法の表記には販売業者の情報を書くので、売主と輸入者が違う場合は、両方の関係を規約と表記で説明します。

健康食品の商品説明で注意すべき表現は?

病気の治療・予防の効果や、根拠のない健康の効果をうたう表現は避けます。医薬品的な効能の表示や、健康増進法の誇大表示の禁止に触れるおそれがあります。

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