このページの要点
- 売る場所が増えても、売主と特定商取引法の表示、返品、広告の責任は店に残る。
- 紹介報酬の成果は、入金・引渡し・返品可能期間の経過を待って確定させ、明細を交付する。
- ステマ規制の対象は広告主。紹介者に広告であることを明示させる手順を、契約と手引きで決める。
- ライブ配信では、表示を画面と注文ページで補い、コメント注文は仮押さえにして、契約の成立時期をはっきりさせる。
結論から言うと、アフィリエイトでもSNSでもライブ配信でも、お客様に対する売主はネットショップの運営者のままです。紹介する人や配信に出る人は、売主ではなく広告の担い手であり、特定商取引法の表示、返品の扱い、広告の表示の責任は、紹介された注文であっても店に残ります。契約書と規約で決めておくのは、次の4つです。
- 何を「成果」と数え、いつ確定させるか(返品・キャンセル・未入金が出る前に報酬を払わない)。
- 発信の内容を、誰が、いつ、どの方法で確認するか(景品表示法・薬機法・ステルスマーケティング規制)。
- 配信中の表示と、注文の受け方(コメントやメッセージでの注文を、どの時点で契約とするか)。
- 違反があったときの報酬の止め方と返還、自己購入や引抜きの扱い、個人の発信者に対するフリーランス法の義務。
用語を先に整理します。アフィリエイトとは、紹介者が自分のサイトやSNSで商品を紹介し、専用のリンクを経由した購入などの成果に応じて、店が報酬を払う仕組みです。広告主(店)と紹介者の間に入り、成果の計測と報酬の支払を行うサービスをASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)といいます。ライブコマースとは、ライブ配信で商品を紹介しながら、その場で購入を受ける売り方です。
このページは、物を売る店の側から、上の4つを整理します。広告主側のアフィリエイト規約の組み立て、ステルスマーケティング規制の細部、口コミへの特典、SNS運用の委託については、別の業種の解説サイトにそれぞれ詳しいページがあります。ここでは、ネットショップに固有の接続点に絞ります。接続点とは、返品やキャンセルと報酬の連動、特定商取引法の表示、価格や在庫の表示のずれ、ライブ配信での注文の受け方です。
売る場所が増えても、売主と表示の義務は店に残る
通信販売とは、販売業者が郵便等の方法で売買契約の申込みを受けて行う販売をいいます(特定商取引法2条2項)。ここでいう「郵便等」には、電話機その他の通信機器や、情報処理の用に供する機器を利用する方法が含まれます(施行規則2条2号)。そのため、スマートフォンのメッセージ機能やコメント欄で注文を受ける場合も、通信販売の申込みの受け方に含まれ得ます。
紹介リンクから店のカートで買われる注文、ライブ配信で紹介して店の注文ページへ進む注文、メッセージで受ける注文は、いずれも店が売主です。一方、紹介者が自分で商品を仕入れて自分の名前で売るなら、売主は紹介者で、店との関係は卸になります。この2つを一つの契約書に混ぜると、報酬の話と代金の話が入り乱れ、返品や不良品のときに誰が責任を負うかが分からなくなります。
売り方ごとの、売主と表示の考え方(一般的な整理)
- 紹介リンクから、店のカートで購入される店が売主。表示・返品・配送は、通常の注文と同じ扱い。紹介者は広告の担い手
- ライブ配信で紹介し、購入は店の注文ページで行う店が売主。配信は店の広告として扱われ得る。注文ページで最終確認の表示を出す
- メッセージやコメントで注文を受け、決済リンクを送る店が売主の通信販売。申込みの受け方を定め、可能なら専用のフォームへ移す
- 紹介者が仕入れて、自分の名前で販売する紹介者が売主。報酬の契約ではなく、卸・委託販売の契約で組み立てる
- 配信者が、動画SNS内の自分のショップで売る出品者として表示される配信者が売主になる形が多い。店は供給者。仕組みの規約を確認する
どの型かは、お客様に表示される販売者の名前と、代金の受け取り先で見分けます。
紹介ページの価格・送料が古いとき
紹介者のページや投稿に、値上げ前の価格、終了した送料無料、売り切れた商品の案内が残っていることがあります。実際より著しく有利だと一般消費者に誤認される価格や取引条件の表示は、景品表示法5条2号の問題になり得ます。紹介者が書いた古い表示でも、店が内容の決定に関与していれば、店の表示として扱われ得ます。そこで、価格や条件を変えたときの通知の方法と、紹介者が更新する期限を契約に書きます。お客様向けに示す価格は、税込の総額で示します(消費税法63条)。
表示の細かい書き方は、ネットショップの特定商取引法に基づく表記のページに整理しています。紹介経由の注文でも、問合せの窓口は店です。紹介者に苦情が寄せられたら、店へ遅滞なく伝える義務を、契約に置いておきます。
紹介契約 第◯条(紹介者の地位)
- 紹介者は、店の代理人又は従業員ではなく、独立した事業者として紹介活動を行う。
- 紹介者は、店に代わって売買契約を締結し、又は価格、在庫、納期、返品の可否を約束する権限を有しない。
- 紹介者は、紹介先の購入希望者から商品に関する問合せ、苦情又は返品の申出を受けたときは、自ら回答せず、遅滞なく店の窓口を案内し、その内容を店に通知する。
- 店は、価格その他の販売条件を変更したときは、紹介者に通知する。紹介者は、通知を受けた日から◯営業日以内に、自己が管理する媒体の表示を改める。
第2項と第3項は、紹介者の発言が店の約束と受け取られることを防ぐための定めです。
紹介報酬の「成果」は、返品・キャンセルが確定するまで数えない
報酬の契約で最も争いになりやすいのは、成果の定義です。「リンクを経由した申込みを成果とする」とだけ書くと、申込みの後にキャンセル、未入金、受取拒否、返品が出たときに、すでに数えた成果をどう扱うかが決まりません。成果は、段階を分けて数えます。
成果が確定するまでの段階(例)
- 1. 発生リンク経由で注文が完了した。まだ報酬の対象ではない
- 2. 承認前入金の確認、発送、お客様の受取りを待つ。キャンセル、未入金、受取拒否が出たものはここで外れる
- 3. 返品可能期間返品を受け付ける期間が終わるまで待つ。返品が出たものは外れる
- 4. 確定返品可能期間が終わった時点で成果を確定し、確定した件数と金額を明細で通知する
- 5. 支払締め日と支払日を決め、確定した分を払う。確定後に判明した不正は、次回以降の報酬と相殺する
返品可能期間は、店の返品特約で決まります。通信販売では、店が返品特約を広告に表示していないと、お客様は商品の引渡しを受けた日から8日を経過するまで、申込みの撤回や契約の解除ができます(特定商取引法15条の3第1項)。特約を表示していれば、その内容によります。つまり、確定までの待ち期間は、自分の店の返品の定めに合わせて決めるものです。返品の書き方は返品特約と返品ポリシー、受取拒否や配送の遅れは配送と在庫の規約のページで扱っています。
算定の基礎で決めておく項目
料率を決めても、何に掛けるのかが決まっていなければ、報酬の額は定まりません。売上の対象とする金額の範囲は、次の項目ごとに決めます。
| 項目 | 決めないと起きること | 決め方の例 |
|---|---|---|
| 税抜か税込か | 紹介者は税込の金額、店は税抜の金額で計算し、請求額がずれる | 税抜の商品代金を基礎とし、その旨を契約と明細に書く |
| 送料・手数料・ラッピング料 | 送料まで含めた売上に料率を掛けたと主張される | 商品代金のみを基礎とし、送料・決済手数料・梱包料は含めない |
| 値引き・クーポン・ポイント利用 | 値引き前の価格で計算するか、値引き後かで争いになる | 実際に請求した金額(値引き後)を基礎とする。紹介者が配るクーポンの負担者を決める |
| 予約商品・分割発送 | 一部が未発送のまま、全額を成果として数えてしまう | 発送され、受取りがあった分だけを成果とする |
| 定期購入の2回目以降 | 継続の報酬を、いつまで払うかが決まらない | 初回と継続の料率を分け、継続は上限の回数か期間を定める |
| 不正・重複 | 同じお客様の再購入や自己購入が成果に混ざる | 禁止行為に該当する申込みは成果から除外する |
数字で確かめます。税抜5,000円の商品で料率を10%とすると、1件の報酬は500円です。ある月の申込みが100件で、そのうちキャンセル・未入金・受取拒否・返品が合わせて12件出たとします。申込み時点で数えれば100件×500円=50,000円ですが、確定した88件で数えれば88件×500円=44,000円です。差の6,000円を先に払うと、あとで取り戻す手間が生じます。
報酬から差し引く項目にも注意します。実務で見かけるのは、報酬の支払のたびに事務手数料を一律で控除する書き方です。1件あたり500円の報酬で、支払のたびに500円を控除する定めだと、紹介が1件だけだった月は報酬が0円になり、3件なら1,500円から500円を引いた1,000円になります。控除の定めは、振込手数料の実費にとどめ、少額のときは翌月に繰り越す最低支払額を設ける形が、争いになりにくいです。
紹介契約 第◯条(成果と報酬)
- 「成果」とは、紹介者が付した専用リンクを経由して成立した売買契約のうち、代金の入金が確認され、商品がお客様に引き渡され、かつ、店の定める返品可能期間が経過したものをいう。キャンセル、返品、返金、未入金又は受取拒否となったものは、成果に含まない。
- 報酬は、成果に係る商品代金(税抜。送料、手数料、梱包料及び値引き額を除く。)に、別紙に定める料率を乗じて算定する。
- 店は、毎月末日までに確定した成果について、件数、金額及び算定の根拠を記載した明細を、翌月◯日までに紹介者に交付し、翌月末日までに報酬を支払う。
- 紹介者は、明細の交付を受けた日から◯日以内に、書面又は電磁的方法により異議を述べることができる。異議があったときは、店は異議のあった部分の支払を保留することができるが、異議のない部分は支払う。
- 報酬の確定後に、前条の禁止行為に該当する申込みであることが判明したときは、店は、その申込みに係る報酬を、次回以降の報酬と相殺することができる。
第1項で返品可能期間を成果の条件に入れ、第3項で明細を義務にし、第4項で異議の期間を確保しています。異議の期間が数営業日では、明細を確かめる時間が足りません。
発信の内容の責任は、誰が負うのか
事業者は、自己の供給する商品について、品質などを実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認)、価格その他の取引条件を実際より著しく有利であると誤認される表示(有利誤認)、そのほか誤認されるおそれがあるとして指定された表示をしてはなりません(景品表示法5条1号〜3号)。違反すると、内閣総理大臣は、差止めや再発防止の措置を命じることができます(措置命令。同法7条1項)。
優良誤認と有利誤認には、課徴金の制度もあります。対象期間に取引した商品の売上額に3%を乗じた額が課徴金で、その額が150万円未満のときは納付を命じられません。ただし、その期間を通じて不当な表示であることを知らず、かつ、知らないことについて相当の注意を怠っていないと認められるときも、納付を命じられません(同法8条1項)。たとえば、対象期間の売上額が6,000万円なら3%で180万円、4,000万円なら120万円で、後者は150万円未満です。なお、3号の指定に基づく表示(次に述べるステルスマーケティング)は、課徴金の対象から外れています。
紹介者の発信であっても、店が表示の内容の決定に関与していれば、店の表示と扱われます。景品表示法は、事業者に対し、表示を適正に管理するために必要な体制の整備その他の措置を講じることを求めています(同法22条1項)。外部の紹介者に任せている広告も、この管理の対象に入るため、契約で確認と是正の手順を決めておきます。
ステルスマーケティング規制の押さえどころ
広告であるのに、広告であることが一般消費者に分からない表示は、景品表示法5条3号に基づく指定により、不当な表示として禁止されています。2023年10月1日から施行されています。消費者庁の整理では、規制の対象は広告主である事業者で、依頼を受けて投稿する第三者は、原則として対象外です。だからこそ、店は、紹介者に広告であることを明示させる手順を、契約で決めておく必要があります。
| 場面 | 考え方 | 契約・運用への落とし方 |
|---|---|---|
| 報酬を払って紹介を依頼した投稿 | 店の表示に当たる可能性が高い。広告であることの明示が適当 | 広告の表示の文言と位置を、契約か手引きで指定する |
| 商品を無償で提供しただけで、投稿は自主的 | 個別の事情による。純粋な自主投稿なら表記は必須でない | 提供の目的を記録し、依頼の有無をあいまいにしない |
| レビューの特典に、星の数や好意的な感想を条件とした | 店の表示に当たる | 特典の条件に、評価や内容を入れない |
| アフィリエイトサイトで、ページの冒頭に一文だけ表示 | それだけでは明瞭といえない場合がある | 広告にあたる部分の近くにも表示させる |
| 動画の冒頭だけに「PR」と表示 | それだけでは足りない場合がある。常時表示が望ましい | 動画の画面上に、常時表示させる |
広告の表示の文言は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの語を使うか、「提供を受けて投稿している」旨を文章で書きます。投稿者が店に所属していることを示すだけでは足りないとされています。
「何人も」が名宛人の規制
化粧品や医薬品などの効能効果に関する虚偽・誇大な広告を禁じる薬機法の規定や、食品の虚偽・誇大な表示を禁じる健康増進法の規定は、広告主に限らず、「何人も」が名宛人です。紹介者が書いた効能の表現は、紹介者自身も規制を受け、店も責任を問われ得ます。契約で責任を店に寄せても、行政上の責任の名宛人は変わりません。契約の定めは、店と紹介者の間で、費用と損害をどう分けるかを決めるものです。商品の種類ごとの注意は、化粧品のネット販売と卸の契約書と食品のネット販売の許可と表示のページで説明しています。
紹介契約 第◯条(広告の表示と事前の確認)
- 紹介者は、紹介活動において、別紙の表示基準及び店が提供する素材に従い、虚偽又は誤認を与えるおそれのある表示をしてはならない。
- 紹介者は、報酬を受けて行う紹介であることが、閲覧者に明瞭に分かるよう、別紙に定める文言を、別紙に定める位置と方法で表示する。
- 紹介者は、商品の効能、効果、性能、他社との比較及び価格に関する表現を、店が提供した素材の範囲を超えて用いる場合は、公開する前に店の承認を得る。
- 店は、紹介者の表示が法令又は別紙の基準に反すると認めたときは、修正又は削除を求めることができる。紹介者は、求めを受けた日から◯営業日以内にこれに応じ、対応した画面を保存して店に提出する。
- 店は、本条の承認を行った場合でも、紹介者の表示について紹介者が負う法令上の責任を免れさせるものではない。
第2項で広告の表示を「別紙の文言・位置・方法」で具体化し、第4項で是正の期限と記録を決めています。最後の項は、承認が責任の移転ではないことを確認する定めです。
紹介記事に載せる割引価格や通常価格の表示については、二重価格・セール表示とポイント還元の書き方の記事で詳しく説明しています。
ライブ配信で売るときの表示と、注文の受け方
ライブ配信は、口頭と画面で、価格、送料、納期、返品、効能を一度に伝える広告です。通信販売の広告には、販売価格と送料、代金の支払の時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間、申込みの撤回・解除(返品)に関する事項、販売業者の氏名・住所・電話番号などを表示する義務があります(特定商取引法11条、施行規則23条)。送料は金額で、引渡時期は期間又は期限で表示し、返品に関する事項は見やすい箇所に明瞭に表示します(同規則24条)。配信の中でこれらを全部読み上げるのは現実的でないため、配信画面の固定の文字と概要欄から、特商法の表記のページへ移れるようにし、購入手続の画面で最終確認の表示を出す設計にします。
最終確認の画面には、商品の分量、価格と送料、支払の時期と方法、引渡時期、申込みの期間などを表示する必要があります(同法12条の6第1項)。返品の特約を有効にしたいときは、電子消費者契約に当たる取引では、広告に表示するだけでなく、広告以外の方法でも表示します(同法15条の3第1項ただし書)。配信中に「返品はできません」と口頭で言うだけでは、特約の表示として足りないおそれがあります。注文ページの表示と合わせます。
「残り3点」「今だけ」の表示
ライブ配信では、数量や時間を区切る言葉が多く使われます。実際の在庫が潤沢なのに「残りわずか」と言い、配信が終わっても同じ価格で売り続けるなら、取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示(景品表示法5条2号)に当たるおそれがあります。配信で売る数量は、通常の在庫と分けて数え、画面の表示と注文の上限を一致させます。
数が足りなくなることもあります。配信用に30点を用意し、配信中のコメントでの注文が50件に達したなら、20件分は、取消しの連絡、入荷待ち、次回配信での優先のどれかで対応することになります。どの対応を取るかは、注文の承諾をしない事由として規約に書いておきます。契約の成立時期の設計は注文確認メールと契約の成立のページで説明しています。
よくある質問と考え方|配信中の注文
Qコメント欄に「購入します」と書かれたら、その時点で契約が成立しますか?
A契約は、申込みに対して相手方が承諾したときに成立します(民法522条1項)。配信者が「ありがとうございます、確保しました」と答えると、承諾と受け取られるおそれがあります。コメントは仮押さえとし、注文ページでの手続の完了と、店の発送のお知らせで成立させる設計が、誤解を減らします。
Q配信者が口頭で、効能や他社品との比較を言ってしまったら?
A生配信は取り消せません。訂正を字幕や固定のコメントで直ちに出す手順、アーカイブを非公開にして直す手順、配信の記録を保存する手順を、事前に決めておきます。薬機法などの規制を受ける商品では、言ってはならない表現の一覧を、配信者に渡します。
配信の前に確かめること
- 概要欄と固定のコメントから、特商法の表記のページと、返品のページへ移れるか。
- 配信で売る数量と、注文ページの在庫の上限が一致しているか。
- 広告であること(提供・報酬の有無)を、画面に常時表示する設定にしたか。
- 出演者に渡す、言ってはならない表現の一覧と、訂正の手順を共有したか。
紹介経由で定期購入を申し込ませる場合の最終確認画面の表示については、定期購入(定期便)の最終確認画面の表示と解約条項の記事で詳しく説明しています。
発信者・出演者・取引先との契約で決める条項
報酬を払って発信を頼む相手によって、契約の性質は違います。型を取り違えると、条項が合いません。
| 型 | 売主・報酬 | 契約で重くなる点 |
|---|---|---|
| 紹介のみのアフィリエイト | 売主は店。成果に応じた報酬 | 成果の定義、禁止行為、広告の表示、報酬の返還 |
| 出演して紹介する配信者 | 売主は店。出演料に歩合を足す形が多い | 台本と表現の確認、配信中の訂正、アーカイブ、肖像・素材の利用 |
| 仕入れて自分で売る販売者 | 売主は販売者。店は供給者 | 卸の契約(価格・販路・返品・転売) |
禁止行為は、実際の不正に合わせて書く
紹介の契約で見かける禁止行為は、虚偽の申込みを発生させる行為、自己購入(紹介者や関係者が自分のリンクで買うこと)、リンクの第三者への貸与、スパムや不正なクリック、店の公式を装うこと、店の素材の無断の改変などです。自己購入は、「報酬を自分で得るための購入」であり、店が割引の仕組みとして認めている場合を除いて禁止し、禁止するなら成果から除外すると書きます。
契約の中で、成果と認める経路がずれていることもあります。ある条では「専用のリンクを経由した申込みだけが成果」と定めながら、別の条では対面営業も紹介活動に含めている書き方です。経路を認めるなら、その経路での申込みを計測する方法(申込みの際の紹介コードなど)まで書きます。そうでなければ、対面営業を紹介活動から外します。
フリーランス法の対象になる場合
発信や出演を頼む相手が、従業員を使用しない個人(又は代表者以外に役員がなく従業員もいない法人)であれば、その相手は特定受託事業者にあたり、店が事業のために役務の提供を委託するなら、フリーランス法の業務委託に当たり得ます(同法2条1項・3項)。その場合、店は、給付の内容、報酬の額、支払期日などを、直ちに書面又は電磁的方法で明示する義務を負います(同法3条1項)。店が従業員を使っているなら特定業務委託事業者にあたり、報酬の支払期日は、給付を受領した日(役務の場合は役務の提供を受けた日)から60日以内で、できる限り短い期間内に定めなければなりません(同法4条1項)。月単位の締切制度は、公正取引委員会のQ&Aで、受領から2か月以内として運用されるとされています。
委託が1か月以上(政令で定める期間以上)続く場合は、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに報酬を減ずることや、著しく低い報酬を不当に定めること、自己の指定する物を強制して購入させることが禁止されます(同法5条1項)。また、委託の期間にかかわらず、自己のために金銭や役務その他の経済上の利益を提供させることなどによって、特定受託事業者の利益を不当に害することも禁止されます(同条2項)。出演者に自社商品の買取りを求める、無報酬で追加の配信を求める、といった運用は、この規定に触れないかを確かめます。
確定までの待ち期間を長くとりすぎると、この支払期日の枠に収まらなくなるおそれがあります。待ち期間は、返品可能期間に必要な範囲にとどめ、支払期日の起算との関係を、契約を作る段階で確認します。
卸先・取引先が、SNSやライブ配信で売るとき
卸先との契約で「ネット販売の禁止」を定めるときは、定義に、ライブコマースとSNSの販売機能が入っているかを確かめます。定義が「ECモール・フリマアプリ」だけだと、ライブ配信での販売が禁止の外に出ます。反対に、「その他一切の電子商取引」と広く書くと、卸先の自社のネットショップまで禁止することになり、許可の手続を置いていなければ、実務が回りません。詳しくは化粧品のネット販売と卸の契約書のページにあります。
販売支援や運営代行の会社に依頼するときは、委託販売契約書・EC運営の外注契約のページで説明した、アカウントの帰属、停止時の負担の分け方、支援側の責任の範囲を、あわせて確認してください。
紹介契約 第◯条(禁止行為と報酬の取消し)
- 紹介者は、次の行為をしてはならない。(1)紹介者又はその関係者が、自己のリンクを経由して自ら購入し、又は申込みをする行為 (2)第三者に虚偽の申込みをさせ、又は不当な利益を提供して申込みを誘導する行為 (3)リンクを第三者に貸与し、又は改変する行為 (4)店の公式を装う行為 (5)店の事前の承認なく、店の素材を改変して用いる行為
- 紹介者が前項に違反したときは、店は、違反に関係する申込みについて、報酬の支払を停止し、又は既に支払った報酬の返還を求めることができる。
- 店は、前項の返還を求めるときは、対象となる申込み、金額及び理由を記載した書面を交付する。紹介者は、書面の到達から◯日以内に返還する。
- 店は、紹介者に未払の報酬があるときは、返還すべき額を、その未払の報酬と対当額で相殺することができる。
- 紹介者が前条までの定めに違反し、是正の求めに応じないときは、店は、契約を解除することができる。この場合でも、違反に関係しない成果に係る報酬は、本契約の定めにより支払う。
返還の範囲を「違反に関係する申込み」に限り、書面の交付と期限を決めています。違反が見つかっただけで、過去の報酬の全部を返還させる書き方は、争いになりやすいです。
よくある失敗と直し方
事業者が書いた紹介の契約には、次のような書き方が見られます。いずれも、一般的な例として示します。
書き方の例(一般的な例) |紹介・出演の契約
成果の定義
申込みの時点で数えると、返品が出た分を取り戻す手間が生じます。段階を分けて数えます。
報酬からの控除
1件あたりの報酬と同じ額を控除すると、少ない月は報酬がなくなります。
違反時の返還
全部の返還を求める書き方は、実際の損害や違反と釣り合わないと評価されるおそれがあります。
責任の上限
一方だけに有利な責任の定めは、交渉の場で問題になりやすいです。個人の紹介者との契約では特に目立ちます。
引抜きの禁止
違約金は、損害賠償の額の予定として定められます(民法420条)が、過大な額は公序良俗に反するおそれがあります(同法90条)。
ヒヤリングで確認すること
契約書を作る前に、次の事項を店に確認します。それぞれ、確認する理由が違います。
| 確認すること | 理由 | 契約・表示への反映 |
|---|---|---|
| 売主は誰か(店か、発信者か) | 売主によって、特商法の表示、返品、不良品の責任の所在が変わる | 紹介契約か、卸・委託販売の契約かを決める |
| 注文を受ける場所(カート、メッセージ、コメント) | 申込みの受け方で、表示と契約の成立の時期が変わる | 専用フォームへ移すか、メッセージ注文の規約を作る |
| 返品特約と返品可能期間 | 成果の確定までの待ち期間を決める基準になる | 成果の定義に、返品可能期間の経過を入れる |
| 報酬の算定の基礎(税抜・送料・値引き) | 報酬の額が計算できなくなるのを避ける | 算定の基礎の条と、明細の項目を決める |
| 商品の種類(化粧品・食品・健康に関わる物) | 効能効果の規制を受けるかで、表現の確認の厳しさが変わる | 禁止表現の一覧と、事前の承認の範囲を決める |
| 発信者は個人か、従業員を使う事業者か | フリーランス法の対象かで、明示と支払期日の義務が変わる | 条件の明示の書面と、支払期日を決める |
起きがちなこと
よくあるご質問
アフィリエイトの紹介者が誇大な紹介をした場合も、店の責任になりますか。
なり得ます。紹介者の表示でも、店が内容の決定に関与していれば、店の表示と扱われます。景品表示法は、表示を管理するための体制の整備その他の措置を、事業者に求めています(22条1項)。確認と是正の手順、事前の承認、画面の保存を契約に入れておきます。
紹介リンク経由の注文にも、特定商取引法に基づく表記は必要ですか。
必要です。紹介リンクから店のカートで購入されるなら、売主は店で、通常の通信販売と同じ表示が必要です。メッセージやコメントで注文を受ける場合も、通信販売の申込みの受け方に含まれ得ます(施行規則2条2号)。
ライブ配信中のコメントでの注文で、契約はいつ成立しますか。
契約は、申込みに対する承諾で成立します(民法522条1項)。配信者の「確保しました」が承諾と受け取られるおそれがあります。コメントは仮押さえとし、注文ページでの手続の完了と、発送のお知らせで成立させる設計が、誤解を減らします。
紹介者の自己購入は、禁止すべきですか。
報酬を自分で得るための購入は、成果を水増しするため、禁止行為にして成果から除外するのが一般的です。店が割引の仕組みとして認めるなら、その範囲を別に書きます。禁止するときは、違反に関係する申込みの報酬だけを停止・返還の対象にします。
個人の紹介者や出演者に払う報酬には、フリーランス法が関係しますか。
相手が従業員を使用しない個人などで、店が事業のために役務の提供を委託するなら、業務委託に当たり得ます。その場合は、条件の明示(3条)が必要で、店が従業員を使っているなら、支払期日は受領から60日以内で定めます(4条)。1か月以上の委託には、5条1項の禁止事項もかかり、5条2項の禁止は委託の期間にかかわらずかかります。
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本ページは一般的な情報提供です。許可・届出・免許の運用は、所管の行政機関によって異なることがあります。紹介している書き方の例は、ネットショップの利用規約・特定商取引法に基づく表記・返金ポリシー、酒類の免許、化粧品・中古品・OEM・販路の契約書などについて、一般的な論点を整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者庁 / 国税庁 お酒に関する情報