販路と運営の外注の契約

運営の一部を外に出すか、他人の販路を使うと、お客様向けの書類とは別に、事業者どうしで売上・在庫・写真・アカウントの扱いを決めることになります。

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構築業者が仮に置いた規約や表記がそのまま公開されても、表示の責任は販売者に残ります。

このページの要点

  • 売上連動の報酬は、計算の基礎・差し引く項目・明細と異議・支払期日を決める。
  • 商品写真は、著作権の移転の時期と、出品に使う許諾を分けて書く。
  • 発送のために顧客情報を渡すなら、個人情報の委託先の監督を契約に書く。
  • アカウントの停止は、原因ごとに負担を分け、全部を免責にしない。

外注と販路の契約で決めること

ネットショップの運営の一部を外部に出す(撮影・梱包発送・サイトの構築・SNSでの販促)か、他人の販路を使う(委託販売・卸・共同販売)と、お客様向けの書類とは別に、事業者どうしの契約で「売上・在庫・写真の権利・アカウント・返品の負担」を決めることになります。事務所の資料からは、次のような論点が繰り返し出てきました。

販路と外注の契約で決めること
場面決めること
売上に連動する報酬の外注報酬の計算の基礎(売上か利益か)の定義、差し引く項目の範囲、明細の提示と異議の期間、返品・キャンセルのときの扱い、支払期日
商品写真の撮影写真の著作権が移る時期と、出品に使う許諾
在庫を預ける保管の注意義務、異常のときの報告、受け取ったときの状態の記録、盗難などのリスクの分担と保険
発送のために顧客情報を渡す秘密保持だけでなく、個人情報の委託先の監督(安全管理措置、取扱いの把握、事故のときの報告、再委託の条件)
プラットフォームのアカウントの運用アカウントの停止・売上の停止・仕様の変更の責任の分担
サイトの構築検収の基準と、仮の素材の扱い、公開の責任
作家・ブランドのデザインを卸す持ち込まれたロゴの権利、提案したデザインの再利用

中古ブランド品ECの検品・撮影・発送の外注

中古ブランド品のネットショップの検品・撮影・保管・発送を業務委託する契約のリーガルチェックでは、主に4つの点を指摘しました。

  1. 報酬が「販売が成立したとき」という受託者が関与できない後の事情にかかる構造になっていて、受託者が従業員を使用しない個人(又は代表者1人だけの法人)で、委託者が従業員を使用する事業者なら、フリーランス法の支払期日の規律(役務の提供を受けた日から60日以内)との関係が問題になること。差し引く項目を委託者が一方的に決める構造は、買いたたきや優越的地位の濫用のリスクがあること。
  2. 写真の著作権が「対価の支払をもって移転」するのに、対価が販売の成立まで発生しないため、出品している間の写真の利用の根拠が契約上はっきりしないこと。利用の許諾を別に明記すべきこと。
  3. 預かった在庫について、保管の注意義務、異常のときの報告、受け取ったときの状態の記録、盗難などのリスクの分担と保険を定めること。
  4. 発送のためにお客様の氏名・住所を渡す場合は、守秘の義務だけでなく、個人情報保護法の委託先の監督(安全管理措置の特定、取扱いの状況の把握、事故のときの報告、再委託の条件)を契約に書くこと。

ハンドメイド作家が店舗に卸すとき

事務所の改訂例|作家の店舗向け販売契約

デザインの権利

改訂前作家(甲)が企画・創作したステッカーを店舗(乙)が仕入れて再販売。デザイン・初期の提案の著作権などはすべて甲に帰属し、乙は権利を取得しない。提案デザインの無断利用の禁止。修正は○回まで無償。提案から一定期間で優先の検討権が消え、再利用できる。(依頼者原案)
改訂後乙から提供された企業ロゴなどを使ったステッカーのうち、ロゴ自体の著作権はロゴの権利者に帰属し、甲は乙又は正当な権利者の許諾の範囲で使う、と持ち込まれた素材の権利を切り分けました。乙が特定のデザインの再発注を望まない場合は、取扱いの終了を通知すれば再発注の義務を免れ、甲はそのデザインを再利用・第三者に提供できる、とも定めました。

作家の権利を守る原案の方針はそのままに、卸先が持ち込んだロゴの扱いと、取引をやめたデザインの行き先を決めました。

TikTok Shopの導入支援

事務所の改訂例|TikTok Shopの導入支援業務委託

報酬と期間

改訂前成果報酬に加えて最低報酬。2か月前の予告でいつでも中途解約。3か月の自動更新。インフルエンサーとの直接取引の違約金は空欄。免責に「アカウントの停止・制限・削除・凍結」。(依頼者原案)
改訂後最低報酬の条を削り、初回の契約期間中は中途解約できないこととし、更新は1か月単位・1か月前の予告としました。インフルエンサーの引抜きの違約金は、そのインフルエンサーとの取引で成立した販売額の一定割合に具体化しました。賠償の上限は過去3か月の報酬の総額とし、売上の減少・データの消失などを除きました。

依頼者の立場(発注側)に合わせて、拘束と負担のバランスを調整しました。

アカウントの停止

改訂前アカウントの停止・制限は一切免責。(依頼者原案)
改訂後支援側が直接運用を受けていたアカウントが停止・売上停止したときは、停止の期間中の運用費用の相当額を上限に請求できる(資料の提供や是正の指示に従わない場合は除く)、プラットフォームの仕様・審査基準・ポリシーの変更などによる停止や売上の変動は免責、復旧は保証しない、と分けました。

全部を免責にすると、運用を任された側の落ち度で停止した場合も救済がありません。原因によって負担を分けます。

インフルエンサーを使った販促は、ブランド側の広告と扱われるので、広告であることが分かる表示が必要になる点にも注意します(レビューとステルスマーケティング)。

Shopifyの構築:仮の素材と公開の責任

事務所の改訂例|Shopify構築の請負契約

素材

改訂前受託側がAI生成の画像・文章・ダミーテキストなどを使うことができ、発注者はあらかじめ承諾する。権利の非侵害・商標の非抵触・法令の適合性を一切保証せず、紛争は発注者が解決し補償する。(依頼者原案)
改訂後AI生成素材の条を「仮素材」の条に置き換え、素材の提供が遅れ又は足りないときに事前の了承を得て仮の画像・文章で進められる、仮素材は暫定的なもので、公開する内容の確認・差替え・適法性の判断と最終的な公開の責任は発注者にある、としました。

ネットショップの商品ページ・規約・特商法表記を構築業者が仮に置いたまま公開されると、表示の義務と内容の責任は販売者に残ります。改訂後の「最終的な公開の責任は発注者」は、その点を契約でもはっきりさせたものです。

検収とデータの移行

改訂前抽象的な評価・参考サイトとの印象の差・後からの要望は不合格の理由として認めない。データの移行はクレンジングの義務なし、データに起因する不具合は一切責任を負わない。(依頼者原案)
改訂後検収は「原則として不合格の理由とはならないが、調整の必要があれば協議する」と緩め、データの移行は「通常の形式・内容のデータを前提に誠実に行い、不備の修正は別途有償、受託側に責任がある場合を除き責任を負わない」としました。

構築の後に規約や表記を差し替える手順は、特商法表記のページの確認リストが使えます。

花束ギフトのBASE共同販売(レベニューシェア)

花束のギフトを2つの事業者がBASEで共同販売する契約では、役割を分け、営業利益を一定の割合で分ける構造にしました。

共同販売契約で決めたこと

販売側の役割ネットショップの運営、価格の設定、規約と特商法の表示の掲載・管理、お客様の対応、決済、配送の契約、広告
制作側の役割花材の調達、制作、梱包、出荷の引渡し
分配営業利益(売上 − 原価 − 販売管理費)を一定の割合で分ける
定義売上は返品・キャンセル後の実際に受け取った額。原価は花材・資材・クール便を含む配送費。販売管理費はBASEの基本料金・決済手数料・サービス利用料・ドメイン・広告などの間接費
手続毎月末で締め、翌月の一定日までに収支の明細書、一定期間内の異議、翌月末払い、誤りの事後の調整
権利販売ページ・写真などの著作権は販売側。制作側がSNSで使うときは承諾とクレジットの表示を条件にする

品質・クレーム・配送の事故・注文情報の誤入力の負担は、配送のルールと食品のネット販売のページで紹介しています。

委託販売と代理販売の経費

他社が造った化粧品を販売委託で売る契約では、非専属であること、製造元の許認可の保証、お客様の返品の扱い、委託先の過失による不良は委託先の負担、遅延損害金、秘密保持の存続期間を定めました(化粧品のネット販売と卸)。物品の代理販売の契約では、受託者の梱包資材費・ガソリン代・配送拠点への交通費などの合理的な経費は報酬に含まれ別に請求しない、ただし特段の事情で高額の実費が生じる場合は事前に協議して精算する、という条を加えました。経費の範囲をめぐる争いを防ぐためです。

販促支援の契約:投稿の承認と、アカウント・制作物の帰属

TikTok Shopの導入支援の契約は、報酬やアカウントの停止の負担を上で紹介しましたが、修正版では役割の分担と帰属も条文で決めています。

販促支援の契約で決めた役割と帰属(修正版)
項目定め
出店側の役割商品の企画・製造・品質管理、在庫・受注・発送、問い合わせ・返品返金などの顧客対応、表示・広告表現の法令の遵守
支援側の役割販売促進の企画と実行の支援、インフルエンサーの選定・マッチング・連絡調整。商品の品質・効能・表示・在庫・配送・顧客対応には責任を負わない
インフルエンサーの投稿インフルエンサーは支援側の代理人・使用人ではない独立の第三者。投稿の最終確認と承認は出店側が行い、原則として承認を得た投稿だけを公開する。法令や各プラットフォームの規約への適合は出店側が確認し、支援側の事前確認・助言は参考情報
範囲外の業務広告運用、商品ページの制作、SNSアカウントの運用代行、インフルエンサーとの個別のキャスティング契約、販促イベントは、個別に発注・承諾した場合だけ実施
アカウントとデータ販売用アカウント、ログイン情報、顧客データ・販売データは出店側に帰属。支援側は目的内でのみ使い、終了時はアクセスを停止して返還・削除
制作物支援側が作った画像・動画・投稿素材の著作権は、別途合意がない限り支援側に残り、出店側は契約期間中に目的の範囲で非独占的に利用できる。買切り・二次利用・広告への転用・期間の延長は別途合意
報酬の基礎売上高は注文が確定し決済が完了した販売代金で、キャンセル・返品・返金は含まない。算定根拠の明細を交付

表示・広告表現の法令の遵守を出店側の役割とする分担と、投稿の最終確認と承認を出店側に置く定めは、対になっています(レビューとステルスマーケティング)。店舗用のアカウントの運用代行の途中で停止があった場合、停止の期間の費用を日割りで返すかどうかは協議する、という定めも加えました。

共同販売で、費用を当事者ごとに列挙する

花束のギフトをBASEで共同販売する契約では、利益の分け方に加えて、費用の負担を当事者ごとに列挙しました。販売側は、配送料(クール便・再送を含む)、梱包資材(段ボール・緩衝材・紙製の花瓶・メッセージカード)、ショップの利用料・ドメイン・ECのシステム、広告の運用費、LPの制作・分析ツール。制作側は、花材と保水剤・ラッピングの資材、制作・梱包の人件費、店舗・作業場の賃料・光熱費、保管・鮮度を保つための設備です。費用の記録は販売側が管理して制作側の求めに応じて示し、市場の変動や物流の料金の改定で区分を変えるときは書面で合意します。

構築の外部パートナー条項

事務所の改訂例|Shopify構築契約の再委託

再委託

改訂前乙は、本業務の全部又は一部を、自己の責任において第三者に再委託することができる。…再委託の事実のみをもって義務違反とはならない。(依頼者原案)
改訂後条の題を「外部パートナーとの連携」とし、デザイナー・エンジニアなどの専門家と連携して業務を行えること、連携しても受託者が一切の責任を負うこと、外部パートナーに同等の秘密保持義務などを守らせること、選任・監督に相当の注意を払うこと、連携は品質の向上と円滑な遂行のためで、連携の事実だけでは義務違反にならないこと、としました。

発注者から見て一方的に見える文言を、責任の所在を変えずに書き直した改訂です。

バックヤードの外注:業務ごとに変わるルールと、預かり品

中古ブランド品のネットショップのバックヤード業務の委託のリーガルチェックでは、報告書で、仕入→検品・撮影・保管→出品・販売→販売成立→梱包・発送→月末締め→翌々月払い、という業務の流れを図にし、支払日までにキャンセルや返品が出ると、検品・撮影・保管・発送を終えていても報酬の対象から外れる構造を示しました。

中小受託取引適正化法との関係も、業務ごとに分けて確認します。物販事業者が自社の在庫の検品・保管・梱包を委託する場合は、自社で使う役務の委託として同法の役務提供委託(2条4項)に当たらない場合が多い一方、お客様への発送の委託は特定運送委託(同条5項)に当たり得ます。適用があるときの資本金・従業員の基準も、委託の種類ごとに分かれます(同条8項)。受託者が従業員を使用しない個人(又は代表者1人だけの法人)なら、自社で使う役務の委託も対象とするフリーランス法の適用を確認します。委託者が従業員を使用する事業者で契約が6か月以上続く場合に同法が求める中途解除の30日前の予告と、契約にある「1か月前」の予告とで、暦月と30日のずれが出る点も確認事項に挙げています。

預かった商品の保管・管理の条は寄託の規定としておおむね整っていると評価しつつ、滅失などの賠償を仕入価格を上限とする点は、委託者から見れば想定していた販売利益を回収できない可能性があり、一般の損害賠償の条に上限がないこととの均衡を確認すべき、としました。盗難などのリスクの分担と保険、受領時の現状の記録、委託者の業務システムへのアクセスの履歴の記録も確認事項です。

他人の販路で売る契約では、売上と在庫の情報を契約で取りに行く条も置きます。化粧品の販売委託では、委託先が毎月末締めで売上数量・売上金額・返品数・在庫数量を翌月の一定日までに指定の電子形式で報告し、虚偽の報告や未提出は催告のうえ解除、委託元は帳簿・在庫記録・取引明細の閲覧又は写しの提出を求められる、としました(化粧品のネット販売と卸)。

よくあるご質問

ネットショップの発送や撮影を外注するとき、契約で決めておくことは?

報酬の計算の方法、写真の著作権と利用の許諾、預けた在庫の保管の責任と保険、お客様の個人情報を渡す場合の委託先の監督、再委託の条件を決めます。

売上に応じた報酬(レベニューシェア)で外注するときの注意点は?

売上・原価・差し引く経費の定義、明細の提示と異議の期間、返品やキャンセルのときの扱い、支払期日を決めます。受託者が従業員を使用しない個人(又は代表者1人だけの法人)で、委託者が従業員を使用する事業者なら、フリーランス法の支払期日の規律との関係も確認します。

外注先が撮影した商品写真の著作権は誰のものですか?

契約で決めなければ、撮影した側に残るのが原則です。譲渡を受けるならその時期を、譲渡の前から出品に使うなら利用の許諾を、契約に明記します。

TikTok Shopなどのアカウントが停止されたら、運用代行会社に責任を問えますか?

契約で原因ごとに負担を分けておけば、運用を任された側の落ち度による停止について一定の範囲で請求できます。プラットフォームの仕様やポリシーの変更による停止は、通常は免責とします。

ハンドメイド作品を店舗に卸すとき、デザインの権利はどう書けばよいですか?

作家のデザインの権利は作家に残すこと、卸先から持ち込まれたロゴなどの権利はその権利者にあること、取引をやめたデザインを作家が再利用できることを書きます。

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本ページは一般的な情報提供です。許可・届出・免許の運用は、所管の行政機関によって異なることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきたネットショップの利用規約・特定商取引法に基づく表記・返金ポリシー、酒類の免許の申請、化粧品・中古品・OEM・販路の契約書などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月15日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者庁 / 国税庁 お酒に関する情報

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