このページの要点
- 「通常価格」は、セール開始前の8週間で売っていた期間が半分を超え、通算2週間以上、最後の販売から2週間以内の価格が目安。価格の履歴を残す。
- 将来の価格、メーカー希望小売価格、他店の価格との比較は、それぞれ必要な根拠が違う。将来価格は、確かな販売計画がなければ基本的に避ける。
- 割引率・ポイント還元率は、対象の範囲・基礎の価格・条件を示す。直前の値上げや、セール決定後に売り始めた商品への表示は避ける。
- ポイントやクーポンは、値引きなら景品類の規制の対象外、懸賞や別の商品を付ける形は景品類。表示を委ねても責任は残るので、承認の手順を契約に置く。
結論:「通常価格」と書けるのは、実際にその値段で売ってきた価格だけです
ネットショップのセール表示で最も多い失敗は、「通常価格」「定価」「セール前価格」と書いた価格が、実際にはほとんど売られていない価格だった、というものです。自分の販売価格に、それより高い別の価格を並べて安さを示す表示を二重価格表示といい、並べた高い側の価格を比較対照価格といいます。二重価格表示そのものは違法ではなく、事実に基づいていれば、お客様の商品選びに役立ちます。問題になるのは、比較に使った価格が実際と違う場合と、どんな価格なのかが曖昧な場合です。
この記事は、セール・割引・ポイント還元の表示を作るときに確認することを、①二重価格表示の考え方、②将来の価格・メーカー希望小売価格・他店の価格との比較、③割引率・還元率の表示、④ポイントやクーポンが値引きか景品か、⑤よくある誤った書き方、⑥運営者への確認事項、⑦条文例の順に整理します。対象は、商品ページ、バナー、SNS、メルマガ、モールの出品ページ、アフィリエイトの紹介記事など、お客様の目に触れるすべての場所です。
二重価格表示の基本:何が問題になり、違反するとどうなるか
中心になる規定は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」)の5条2号です。価格その他の取引条件について、実際のもの、または同種の商品を扱う他の事業者のものより著しく有利だとお客様が誤認する表示で、お客様の自主的で合理的な選択を妨げるおそれがあるものを禁じています。これを有利誤認表示といいます。品質を実際より良く見せる優良誤認表示(5条1号)とは別の類型です。
消費者庁の考え方では、「著しく」有利かどうかは、一般的に許容される誇張の程度を超えて、商品を選ぶ判断に影響する内容かどうかで見られます。判断の単位は、画面の中の一つの数字ではなく、表示の内容全体です。そして、事業者の故意や過失の有無は問題にされません。桁の間違いや古い価格の残りといった単純なミスでも、表示と実際が食い違えば、問題になりえます。
違反の疑いがあると、消費者庁は調査を行い、違反が認められれば、誤認を取り除くことや再発防止などを命じる措置命令が出ます。加えて、課徴金の納付が命じられることがあります(8条1項)。額は、違反をした期間(最長3年)に取引した対象商品の売上額の3%で、算定した額が150万円未満なら納付を命じられません。自主的な報告や返金措置による減額の仕組みもあります。都道府県も景品表示法の権限を持つので、地域の小さな店も指導や措置の対象になりえます。
| 売上額(対象期間・対象商品) | 3%を乗じた額 | 納付命令 |
|---|---|---|
| 8,000万円 | 240万円 | 命じられる(150万円以上) |
| 5,000万円 | 150万円 | 命じられる(150万円未満ではない) |
| 4,000万円 | 120万円 | 命じられない(150万円未満) |
課徴金が命じられない金額でも、措置命令の対象になることに変わりはありません。
事業者には、不当な表示を防ぐために必要な措置を講じることも求められています(22条1項)。内閣総理大臣の指針は、①考え方の周知、②方針と手順の明確化、③表示の根拠の確認、④情報の共有、⑤管理担当者を定めること、⑥根拠資料の保管、⑦問題が出たときの迅速な対応、を挙げます。小規模な事業者は、代表者が担当者になり、文書にしなくても代表者が方針を認識していれば足りる場合があるとされています。表示の作成を代理店などに委ねるときは、その相手にも同じ方針と手順を伝え、指示・確認できる関係にします。
「通常価格」と書ける条件:8週間と2週間の見方
セール前の価格を比較対照価格にして「通常価格」「セール前価格」などと並べるのが、過去の販売価格を使った二重価格表示です。お客様は、通常、同じ商品がその価格でセール前の相当期間売られていたと受け取ります。そのため比較に使う価格は、同一の商品について、最近相当期間にわたって販売されていた価格である必要があります。消費者庁は、個々の事案ごとの判断としながら、一般的な目安を示しています。
過去の価格を比較対照価格にできるかの確認(消費者庁の目安)
- 1検討する期間を決めるセールを始める日からさかのぼって8週間を見ます。売り始めて8週間たたない商品は、売り始めてからの期間だけを見ます。基準はセール開始日です。
- 2過半かどうかその期間のうち、比較に使う価格で売っていた期間が半分を超えていれば、最近相当期間売っていた価格とみてよいとされます。ちょうど半分は、超えていません。
- 32週間の線上の条件を満たしても、その価格で売っていた期間が通算2週間未満の場合や、その価格での最後の販売日から2週間以上たっている場合は、使えません。断続的な販売なら、期間を合計します。
目安に当てはまらない価格を使うときは、いつの時点でどのくらいの期間売っていた価格かを正確に表示しない限り、不当表示のおそれがあります。
| 場面 | 比較に使う価格で売っていた期間 | 判断 |
|---|---|---|
| 8週間のうち、通常価格で7週間、値下げ後の価格で1週間売った | 49日(半分を超える。通算2週間以上。最後の販売日からセール開始まで1週間) | 目安を満たす |
| 最初の2週間だけ通常価格、残り6週間は値下げ後の価格 | 14日(半分以下) | 「通常価格」と名乗るのは避ける |
| 通常価格で4週間、値下げ後の価格で4週間 | 28日(ちょうど半分) | 半分を超えていないので避ける |
| 売り始めて4週間の新商品。3週間は通常価格、直近の1週間は値下げ後の価格 | 21日(売っていた28日の半分を超える。通算2週間以上) | 目安を満たす |
| 売り始めて10日の新商品。10日間同じ価格で売った | 10日(通算2週間に満たない) | 全期間でも使えない |
| 前半5週間は通常価格、後半3週間は値下げ後の価格(通常価格での最後の販売日からセール開始まで3週間) | 35日(半分を超える)。ただし最後の販売日から2週間以上たっている | 使えない |
判断の分かれ目は、商品ごとの価格の履歴です。8週間分の販売価格が日付とともに残っていれば、確認は数分で終わります。残っていなければ、「通常価格」と書く前に確認する方法がありません。
「販売されていた」とは、通常の販売活動で売っていたことをいい、実際に買われた実績まではいりません。ただし、通常の販売場所と別の目立たない場所に置いていた場合や、比較に使うための実績づくりとして一時的にその価格にした場合は、売っていたとは見られません。
セールの実施を決めた後で売り始めた商品は、売り始めた時点でセールの価格がすでに決まっているので、セール前の価格は実績づくりと見られます。販売期間を正確に書いても、不当表示のおそれがあるとされています。新商品をセールに合わせて投入するときに、よく起こります。
比較は同一の商品どうしで行います。色やサイズが違っても同じ価格で売る衣料品などは同一とされますが、同じ商品の新品と中古品、傷物、旧型は同一ではありません。展示品や訳あり品に、新品の価格を「通常価格」として並べるのは避けます。内容量や付属品が変わったリニューアル品も、旧版の価格を新版の「通常価格」にはできません。
将来の価格・メーカー希望小売価格・他店の価格と比べるとき
比較対照価格には、過去の販売価格のほか、将来の販売価格、メーカー希望小売価格、他店の価格、他の顧客向けの価格が使われます。どれを使うかで、必要な根拠が違います。
| 比較に使う価格 | 使うために必要なこと | 不当表示のおそれがある例 |
|---|---|---|
| 過去の販売価格(通常価格・セール前価格) | 同一の商品を最近相当期間売っていた価格であること。または、いつ、どのくらい売っていたかを正確に表示すること | 売った実績のない高い価格、短期間しか売っていない価格、数年前に終わった価格を「定価」とする |
| 将来の販売価格(「来月から○円」) | セール後にその価格で売る予定が確かで、合理的な販売計画があること | セール後も値上げの予定がない、セール後の販売がごく短期間 |
| メーカー希望小売価格 | メーカーなどが設定し、あらかじめ公表している価格であること | 設定されていない価格、撤廃済みの価格、自社ブランド商品に自社が付けた価格 |
| 他店の価格・市価 | 同じ商品で、お客様が代わりに買える事業者の最近の価格を、調査したうえで使うこと | 調査せずに「市価」と書く、商圏外の店の価格、後継機種の価格 |
| 会員価格と一般価格 | それぞれの価格が適用される顧客の条件を正確に示すこと | 誰でも簡単に会員になれて、一般価格での購入者がほとんどいない |
将来の価格を並べる表示(「発売記念価格3,980円、来月から5,980円」など)は、消費者庁の執行方針で、表示した価格で売ることが確かな場合以外は、基本的に行うべきではないとされています。見たお客様は、セール後にその価格で売られると受け取るからです。事業者には、セール期間を通じて、その価格で売るための合理的で、実際に実行される販売計画が必要です。計画を示す資料には、仕入れの契約内容(数量・仕入価格・納期)や、同種の商品の売上データなどが挙げられています。
セール後に表示した価格で売っていなければ、原則として、表示を始めた時点から有利誤認表示として扱われます。例外は、計画を示す資料があり、かつ、天変地異、感染症、仕入先の専らのミスなど、事業者の責任によらない特段の事情があって、遅滞なく表示をやめ、お客様に告知した場合などです。お客様から継続の要望があった、売上目標に届かず延長した、需要増で売り切れたが追加で仕入れなかった、他社が値下げしたので対抗した、という理由は、特段の事情とされていません。
売る期間の目安もあります。セール終了後、直ちに表示した価格で売り始め、2週間以上続けたなら、ごく短期間とは考えないとされています。また、セールの期間を示さず「セール中、終了後は○円」とだけ書く表示は、それだけで販売計画がなかったことが強く疑われます。期間は具体的に表示します。
メーカー希望小売価格は、メーカーなどが小売店の価格設定の参考として、あらかじめ公表している価格と受け取られます。公表されていない価格、撤廃した価格、自社ブランド商品について自社が決めた価格、取引先の一部にだけ商談で示された価格、販売する商品と同じではない商品の価格は、そう呼べません。「参考小売価格」の名前で卸先に広く示されている価格は使えますが、希望小売価格とは別の名前にして、誤認させないようにします。
この論点は卸・取扱店の契約書にも出ます。メーカー側が希望小売価格の「尊重」を小売店に義務づける書き方は、実質的な再販売価格の拘束と評価されるおそれがあり、価格は「推奨」にとどめ、禁止する対象は値付けではなく違法な表示や極端な廉売の態様に寄せるのが実務です。小売店側は、希望小売価格が改定・撤廃されたときに知らせてもらう条項があると、古い価格の表示を防げます。詳しくは化粧品のネット販売と卸の契約書で扱っています。
「他店より安い」「市価の半額」は、お客様が、同じ商品を代わりに買える事業者の最近の価格と比べていると受け取ります。市価を使うなら、自社の商圏で競争する事業者の相当数が実際に売る価格を調べたうえで書き、特定の店と比べるなら店名を示します。ネットでは「最低価格」のような表示でも、調べた日時と範囲を説明できなければ根拠になりません。
「30%OFF」「最大70%OFF」「ポイント5倍」の表示
割引率・割引額・ポイント還元率の表示は、二重価格表示と同じ考え方で見ます。消費者庁の考え方では、これらはまとめて「割引率等」と呼ばれます。算出の基礎になる価格、適用される商品の範囲、適用の条件を、実際のとおりに明らかにすることが基本です。
割引率等の表示で、問題になる形と、整える形
問題になる形
- 一部の商品だけが対象なのに、全品が対象のように「5割引セール」と強調する
- 表示価格をセール直前に引き上げてから「3割引」「ポイント還元5%アップ」と表示する
- セールを決めた後で売り始めた商品を、割引の対象に含める
- 「5〜20%値引き」で、20%だけを大きく強調し、20%の対象は一部のみ
- 任意に付けた高い価格を基礎にして割引率を計算する
整える形
- 対象の商品の範囲(全品か、除外があるか)を、割引率の近くに示す
- 割引の基礎になる価格が、実際に売ってきた価格である
- 割引の期間、併用できる割引・クーポンの有無を示す
- 最大の率を示すときは、商品ごとの率を表示する
- ポイント還元は、付与の条件(上限・対象・時期・有効期限)を同じ画面に書く
「大幅値下げ」「工場渡し価格」といった言葉も、実際に安い商品がないのに表示した商品の全体が安いように見せると問題になります。限定条件を著しく小さな文字で書くことも同じです。
「ポイント還元率5%アップ」と書くなら、アップの前の率が、普段実際に付与してきた率であることが前提です。「通常は1%、今だけ5%」の「通常は1%」も、実績のある付与率を書くのが安全です。
消費者向けの価格は、消費税を含めた総額で表示します(総額表示、消費税法63条)。「税込か税別かを明記すれば足りる」という考え方は誤りです。通常価格を税抜、セール価格を税込で並べると、割引の大きさが実際と違って見えます。比較する価格はどちらも総額で並べます。送料無料の条件と表示は、配送と在庫の規約と合わせて決めてください。
アフィリエイトやSNSの紹介で価格を示すときの広告表示については、アフィリエイト・SNS・ライブ配信で売るときの契約と広告表示の記事で詳しく説明しています。
ポイント還元・クーポン・おまけは、値引きか景品か
購入者に何かを付ける販売促進は、値引きと認められるものと、景品類に当たるものに分かれます。景品類とは、顧客を誘引する手段として、取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益で、提供できる額に上限があります。値引きと認められるものは、その規制の対象外です。運用基準は、原則として値引きに当たる例を挙げています。
- 対価の減額(複数回の取引を条件とする場合を含む)。「お買上げごとに、次回のお買物で○円の割引」「○回ご利用で、次回○円割引」
- 支払った代金の割り戻し。「レシート合計金額の○%割り戻し」「シールを○枚ためて送ればキャッシュバック」
- 同じ対価での同一商品の付け加え。「3枚買ったらもう1枚」。「コーヒーを飲んだらジュース無料」のように別の商品を付ける場合は、同一の商品の付け加えに当たらない
反対に、懸賞による場合、割り戻した金銭の使い道を制限する場合、同じ企画の中で景品類の提供と併せて行う場合(金銭か招待旅行かを選ばせるなど)は、値引きと認められません。ネットショップの企画に当てはめた一般的な整理は次のとおりです。
ネットショップの企画の整理(一般的な整理)
- 購入金額に応じて、次回以降の自店の買い物で使えるポイントやクーポンを付ける対価の減額や割り戻しとして、値引きに当たる整理になりやすい
- 購入者の中から抽選でポイントやギフト券を当てる懸賞に当たる。景品類として上限の規制を受ける
- 購入者に、購入した商品とは別の商品を「プレゼント」として付ける景品類に当たる
- A商品とB商品をセットで1つの価格で販売するセット販売であることが明らかなら付随する提供とされにくい。「無料」「プレゼント」と受け取られる見せ方は景品類の扱い
景品類に当たる場合は、提供できる額の上限や総額の規制がかかります。現金で購入する形のポイントは、別の法律の確認が必要です。無償ポイントと有償ポイントの分かれ目は、Shopify・BASEで開店するときの利用規約で整理しています。
実際には数量が用意されていないのに、「先着○名」「在庫限り」で買えるように見せる広告は、おとり広告に関する別の規制の対象になります。
モールやアフィリエイトの価格表示は、誰の責任か
クーポンサイトに「通常価格」と「割引価格」を載せるとき、通常価格での販売実績がまったくなければ不当表示として問題になります。アフィリエイトの表示は、広告主が内容の決定に関与した場合(アフィリエイターに決定を委ねた場合を含む)、広告主の表示として扱われます。「通常価格10,000円が1,980円」と書いたが、普段から1,980円だった、という例が挙げられています。ドロップシッピングのように在庫や発送を仕入先が担う形でも、販売ページの運営者は、個人でも事業者として責任を負います。
裁判例でも、表示をした者は、表示内容の決定に関与した事業者とされ、他の事業者に決定を委ねた事業者も含まれます。「制作会社が作った」は理由になりません。外注の契約は委託販売契約書・EC運営の外注契約で、価格の誤表示で注文が入ったときの契約の成立はネットショップの契約はいつ成立する?で整理しています。
限定販売で価格や数量を打ち出すときの規約については、限定販売・抽選販売の数量制限と転売対策の規約の記事で詳しく説明しています。
よくある失敗と直し方
契約書や規約の確認で多く見られる型を、一般的な例にして並べます。いずれも、このページのために書き起こした文言です。
書き方の例(一般的な例) |価格・セール・ポイントの書き方
取扱店契約の価格の条項
価格の「尊重」を義務にすると、実質的な拘束と評価されるおそれがある。禁止する範囲は、値付けではなく、違法な表示や極端な態様に寄せる。
セット商品・回数券の「通常価格」
単品を実際に売っているなら、単品の価格を合計して比べることは通常問題にならない。「通常価格」と呼ぶなら、その価格のセットを売ってきた実績が必要。
税抜と税込の混在
消費者向けは総額で示し、比較する価格を同じ基準にそろえる。
定期購入・継続契約の「初回限定」
価格が適用される顧客の条件を示さずに安い価格だけを示す表示は、有利誤認のおそれがある。「初年度のみ割引、2年目以降は通常価格」といった条件も同じ場所に置く。
広告代理店・アフィリエイトとの契約
免責だけでは、誤りを誰が防ぐのかが決まらない。情報を出す側、承認する側、誤りが分かったときに動く側を分ける。なお、規約に割引の対象外商品を書いてあっても、バナーで全品が対象に見えれば、表示全体で判断されて問題になる。
ヒヤリングで確認すること
セールの表示や、規約・委託契約を作るときに運営者へ確認する事項を、理由とあわせて並べます。回答が曖昧な項目に関する表示は、避けるか、事実の確認が先です。
| 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 商品ごとの販売価格の履歴は残っているか(日付、価格、販売チャネル) | 「通常価格」を名乗れるかは、セール前8週間の販売期間で決まる。履歴がなければ確認できない |
| 商品は同一か(色・サイズ・仕様変更・新旧モデル・セットの中身) | 比較は同一の商品どうしで行う。中身が変わっていれば旧版の価格は使えない |
| セールを決めた日と、商品の売り始めの日はどちらが先か | 決めた後に売り始めた商品のセール前の価格は、実績づくりと見られる |
| セールの期間と終了後の価格の計画。延長の可能性 | 将来の価格との比較は、確かな予定が前提。延長を前提にした表示にしない |
| メーカー希望小売価格の出所と、改定・撤廃の有無 | 公表されていない価格、撤廃済みの価格、自社設定の価格は使えない |
| 割引の対象(全品か、除外か)と条件(会員限定、数量限定、併用の可否) | 示さないと全商品が対象に見える。最大の率の商品が限られるかも確認する |
| ポイントの付与率、普段の率、使い道、有効期限、返品時の扱い、有償か無償か | 還元率の「アップ」は実績のある率との比較。有償は別の法律の確認が要る |
| 価格表示を作る人・承認する人(社内、代理店、アフィリエイター)と、根拠資料の保管場所・期間 | 表示の主体は決定に関与した事業者。作成と承認の担当が決まっていなければ誤りを防げない |
規約・委託契約・社内ルールの条文例
このページのために書き起こした条文例です。商品、ポイント制度、システムの実情に合わせて調整してください。
利用規約:価格・セール・ポイントの条文例
- 当社が表示する商品の価格は、消費税を含む総額とします。送料その他の費用は、価格の近くまたは注文確認画面に表示します。
- 当社は、セールその他の割引の対象商品、割引率または割引額、期間、適用の条件(会員限定、数量限定、他の割引との併用の可否を含みます。)を、各セールのページに表示します。
- 当社が「セール前価格」と表示する価格は、当社が同一の商品について通常の販売活動により販売してきた価格を指します。
- ポイントの付与率、有効期限、利用できる範囲は、ポイントのページに表示します。当社は、これらを変更するときは、変更の内容と効力発生時期を定め、ウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により周知します。
- 注文の取消しまたは商品の返品があった場合、その注文に対して付与したポイントは取り消します。返金は、決済で実際に請求した金額の範囲で行います。
第4項は、民法548条の4(定型約款の変更)の手順に沿った書き方です。変更の内容と効力発生時期を示して周知することが求められ(同条2項)、変更が合理的であることを理由にする場合は、発効日までに周知を終えていないと効力が生じません(同条3項)。第3項は、販売の実績が裏付けられる商品だけに使ってください。
社内ルール:価格・セール表示の管理の条文例
- 表示管理担当者は、商品ごとの販売価格の履歴(日付、価格、販売チャネル)を記録し、保管する。
- セール表示に用いる比較対照価格は、セール開始日からさかのぼる8週間の販売期間を確認したうえで決め、確認の結果と日付を記録する。
- セールの実施を決定した後に販売を開始する商品は、セール前の価格を比較対照価格とする表示をしない。
- 将来の販売価格を比較対照価格とする表示は、販売計画と根拠資料があり、表示管理担当者が承認した場合に限る。
- 表示の根拠資料は、その商品がお客様に供給されうると合理的に考えられる期間、保管する。
指針の七つの事項に対応させています。小規模な事業者では、担当者を代表者とし、記録は日付と価格の表にするなど、運用できる形に簡素化して構いません。
広告・アフィリエイト等の委託契約:価格表示の条文例
- 乙は、価格、割引率、割引額、ポイント還元率その他の取引条件を含む表示を作成するときは、甲が提供する価格表及びセール条件表に基づくものとし、これらと異なる表示をしてはならない。
- 乙は、前項の表示を公開する前に、甲の承認を得なければならない。
- 甲は、前項の表示の根拠資料を乙に提供し、自らも保管する。甲が提供した情報の誤りに起因する不当な表示の是正は、甲の責任とする。
- 乙は、自己の作成した表示が法令に違反するおそれがあることに気づいたときは、直ちに甲へ連絡し、甲の指示に従って訂正または取下げを行う。
- 乙が第2項の承認を得ずに行った表示によって甲に損害が生じたときは、乙がこれを賠償する。ただし、甲が提供した情報の誤りによる場合は、この限りでない。
「一切責任を負わない」の一文で切り分けず、①誰が情報を出すか、②誰が承認するか、③誤りが分かったときに誰が何をするか、の三点で分けるのが骨格です。
起きがちなこと:価格表示でつまずく五つの場面
- 「通常価格」の根拠となる価格の履歴がなく、セールのたびに過去の価格を記憶で書く
- 新商品をセールに合わせて投入し、直前の価格を「通常価格」として書く
- 「最大70%OFF」のバナーで、70%の商品は一部だけなのに、全体が大幅値引きに見える
- ポイント5倍の期間の直前に価格を上げ、還元の大きさを実際より大きく見せる
- 代理店やアフィリエイターが古いセール価格を使い続け、本店の価格表と食い違う
原因は、価格の履歴が残っていないことと、誰が表示を承認するのかが決まっていないことです。ネットショップの特定商取引法に基づく表記の価格・送料の欄と、返金のルール(返品特約と返品ポリシー・返金ポリシー)も、セールの表示とそろえておきます。価格の根拠を記録に残し、承認の手順を決めておくことが、費用のかからない備えになります。
よくあるご質問
セール前の価格を「通常価格」と書けるのは、どのくらい売っていた場合ですか?
消費者庁の考え方の目安では、セールを始める日からさかのぼる8週間(売り始めて8週間たたない商品は、その期間)のうち、その価格で売っていた期間が半分を超えていれば、最近相当期間売っていた価格とみてよいとされます。ただし、通算2週間未満の場合や、最後に売った日から2週間以上たっている場合は、使えません。
「発売記念価格、来月から○円」と将来の価格を書いてもよいですか?
基本的には避けるべき表示とされています。セール後に表示した価格で売る確かな予定と合理的な販売計画が、セール期間を通じて必要です。セールを延長した、売れ行きが悪くて続けた、他社に対抗したといった理由で表示した価格で売らなかった場合は、原則として表示を始めた時点から有利誤認表示として扱われます。
メーカー希望小売価格と並べて「○%OFF」と書くときの注意点は?
比較に使えるのは、メーカーなどが設定し、あらかじめ公表している価格です。設定されていない価格、撤廃した価格、自社ブランド商品に自社が決めた価格は使えません。比較する商品が同一であることも確認します。
購入者にポイントを付けるのは、景品類の規制を受けますか?
購入金額に応じて、次回以降の自店の買い物で使えるポイントを付けるのは、対価の減額や割り戻しとして、値引きに当たる整理になりやすいです。抽選で当たる形(懸賞)、使い道を限る形、別の商品を付ける形は、値引きと認められず、景品類の規制を受けることがあります。企画の内容で個別に判断します。
価格の表示を広告代理店やアフィリエイターに任せたら、責任は移りますか?
移りません。表示の主体は、表示内容の決定に関与した事業者とされ、決定を他の事業者に委ねた事業者も含まれます。価格表の提供、公開前の承認、誤りが分かったときの訂正の手順を、契約書と運用で決めておきます。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。許可・届出・免許の運用は、所管の行政機関によって異なることがあります。紹介している書き方の例は、ネットショップの利用規約・特定商取引法に基づく表記・返金ポリシー、酒類の免許、化粧品・中古品・OEM・販路の契約書などについて、一般的な論点を整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者庁 / 国税庁 お酒に関する情報